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スーパー・マリオがやってきた マリオ・カノンジュ [カリブ海]

Retour Aux Sources.JPGAromes Caraibes.JPGLive - Rhizome Tour.JPG

ごひいきのピアニストが来日しました。
スーパー・マリオ(正しくは「シュペール・マリオ」)のあだ名で知られる、マリオ・カノンジュです。
マルチニーク出身のマリオは、マリウス・キュルチエやアラン・ジャン=マリーの流れを汲む
ビギン・ジャズのピアニストで、とびっきりエレガントなクレオール・ミュージックを聞かせてくれます。

マリオの歌心あふれるプレイは、ラルフ・タマール、エディット・ルフェール、
ジョセリーヌ・ベロアールなど、マルチニークの数々の歌手のバックでも定評のあるところです。
ビギンの名門楽団マラヴォワのリーダー兼ピアニストだったポロ・ロジーヌが亡きあと、
マラヴォワのピアニスト兼アレンジャーとしても迎えられていますね。
マリオはパリのワールド・シーンのレコーディングにはなくてはならない存在で、
アフリカ、カリブ、アラブのミュージシャンたちのバックを務めるほか、
アンディ・ナレルやロイ・ハーグローブなどアメリカのジャズ・ミュージシャンとも共演するなど、
まさしくワールド・ワイドな活躍をみせています。

ラテン・ジャズというと、チューチョ・バルデスやゴンサロ・ルバルカバを筆頭に、
サーカスみたいなピアニストが多くてヘキエキとさせられるんですが、
ビギン・ジャズはあくまでもメロディーを大事にしていて、
アブストラクトな格闘技に走る野暮なのはいません。

手元にあるマリオのCDを数えてみたら、ソロ作のほかラルフ・タマールとの共同名義作や、
メンバーとして参加しているシック・ホット、サケショーのアルバムまで含めると、9枚もありました。
内容がイマイチと思い処分したのはたった1枚しかないので、いかに駄作がないかの表れです。

今回来日したのは、昨年リリースされたライヴ盤と同じ
チャンダー・サージョ (ds)、リンレイ・マルト (b) とのトリオなので、
クレオール風味は控え目、ジャズ色の強い演奏を予想してたら、とーんでもなかったですね。
アレクサンドル・ステリオのビギン古典曲をソロ・ピアノでさらりと披露したり、
総立ちの観客とコール・アンド・レスポンスするベレ(ベル・エアー)をやったりと、マルチニーク満開!

圧巻だったのは、チャンダー・サージョのドラムス。なんという正確無比なドラミング。
これほど粒立ちの揃った一打一打を叩ける人って、めったにいない。
すんげー人がいるもんだと思ったら、なんとこの人、
カルナータカ(南インド古典)音楽を勉強してたんだそう。
なーるほど、そう言われると、あの正確さはムリダンガムのドラミングにも通じますね。

10日、日仏学院ラ・ブラスリーのライヴは、CD“LIVE - RHIZOME TOUR”の演奏を
はるかに凌ぐものでした。大満足です。

Mario Canonge "RETOUR AUX SOURCES" Natal 150960 (1991)
Mario Canonge "ARÔMES CARAÏBES" Kann’ Production KANN’150962 (1995)
Mario Canonge "LIVE - RHIZOME TOUR" Kann’ Production 150971 (2008)
コメント(10) 

コメント 10

ペイ爺

>ビギンの名門楽団マラヴォワのリーダー兼ピアニストだったポロ・ロジー
>ヌが亡きあと、マラヴォワのピアニスト兼アレンジャーとしても迎えられて
>いますね。
そーなんですか。
Malavoi、“Jou Ouve”、“Live At Zenith”良く聴いたもんです。あのバブル期と印象が重なります(笑)“Cyclone”なんかYMOの「君に胸キュンっ」って感じです。
同時期にTanya St-Val、Emeline Michelなんかも良く聴きました。
Michel なんてエロティックですよね。
Mario Canongeさま、聴いてみます。
by ペイ爺 (2009-09-12 11:14) 

bunboni

89年の後楽園ホールでのマラヴォワ、ご覧になりましたか。ラルフ・タマールがいない!ベースとドラムスがうるさい!などなど不満を言ってたおぼえがありますが、それでもやっぱりあの時に見れて良かったと思います。もうポロ・ロジーヌもマノ・セゼールもいないんですものね。マリオ・カノンジュ、ぜひ聴いてみてください。
by bunboni (2009-09-12 15:56) 

ペイ爺

>89年の後楽園ホールでのマラヴォワ、ご覧になりましたか。
残念ながら行っておりません。その時期に行って印象に残っているのはKid Creole And The Coconuts で今は跡形もありませんが、バブルの象徴だった、汐留のコンサート会場でのLive でした。同じ時期にNara Leao の来日の計画があったようですが、大変残念ながら、「永久に」実現しませんでした。
Nara Leao はお好きですか?
Elis Regina の「動」、Nara Leao の「静」という感じで、どちらも好きなのですが。bunboni さまは如何ですか?
by ペイ爺 (2009-09-13 21:24) 

bunboni

え? ナラ・レオンは85年にロベルト・メネスカルやカメラータ・カリオカと一緒に来日しましたよ。ショーロをバックに歌うナラがとてもういういしかったです。ずいぶんあとになって、深刻な病気を抱えての来日だったことを知り、ショックでした。
エリス・レジーナはもっと前に来日して、ナベサダとも共演しましたけど、こちらは観ていません。60年代のごく初期の歌謡歌手時代のエリスは好きなんですけど、70年代以降の芸術的になった彼女が、ぼくは苦手です。
by bunboni (2009-09-13 22:20) 

ペイ爺

>え? ナラ・レオンは85年にロベルト・メネスカルやカメラータ・カリオカと一>緒に来日しましたよ
行かれたのですか。羨ましい!89年にも来日の計画があったらしいのです。
>エリス・レジーナはもっと前に来日して、ナベサダとも共演しましたけど
ナベサダに“Elis”というアルバムがありますね。
>。60年代のごく初期の歌謡歌手時代のエリスは好きなんですけど
なるほど!“Elis Especial”“Elis”(Philips)なんかの頃がお好きなんですね?“Elis Regina In London”(Philips)は69年の録音ですが、大好きです。
by ペイ爺 (2009-09-13 23:54) 

bunboni

エリス・レジーナで好きなのは、デビュー当初のコンチネンタルの2枚とCBSの2枚です。フィリップス移籍後は苦手になってしまいました。
by bunboni (2009-09-14 06:37) 

ペイ爺

>フィリップス移籍後は苦手になってしまいました。
確かに、「60年代のごく初期」と書いてありましたネ。
失礼致しましたっ!
>コンチネンタルの2枚とCBSの2枚です
未だ聴いていないので、今度、機会があったら聴いてみます♪
by ペイ爺 (2009-09-14 10:58) 

ペイ爺

Mario Canongeさまの“Rhizome Tour”拝聴しました。「ぶっ飛び」ました! おっしゃる通りChander Sardjoeの正確無比、粒立ちのドラムも、このバンドを強烈にプッシュしていて素晴らしいのですが、ベースのLinley Martheにもぞっこん一目惚れです(一聴惚れ?)。変な比較だと思いますが、丁度、30年前に、中野サンプラザで、Weather Report の Jaco Pastorius の演奏を、間近で生で聴いた時に思わずノケぞったあの感覚を想い出しておりました。
有難う御座います!
by ペイ爺 (2009-09-24 15:07) 

ペイ爺

新作❝Zouk Out❞、お聴きになりましたか?“Rhizome Tour”の「過激さ」は終始内に秘めて大事な隠し味に、表面はアッサリ見せて伊達、より肩の力が抜けててなかなかな感じです。

Michel Alibo との相性もGood!

オレの顔見せなくても誰だかわかるよね、ってなジャケットも粋。

オシャレー(^^♪

by ペイ爺 (2018-11-09 23:13) 

bunboni

まだ未聴です。ラルフ・タマールがゲスト参加してるんですよね。楽しみにしています。
by bunboni (2018-11-10 07:41) 

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