ニューヨリカンのフルート デイブ・バレンティン

Dave Valentin "TROPIC HEAT" GRP GRD9769 (1994)

寒いですねえ。
毎朝７時前に家を出るんですけど、身体が縮こまって外へ出る勇気も萎えてしまします。

そんな自分に活をいれ、出勤がてらの30分ウォーキングの良きお供となってくれるのが、
デイブ・バレンティンの“TROPIC HEAT”です。
きりっとしたラテン・ジャズの演奏にのって縦横無尽に吹きまくる、
デイブの情熱的なプレイを聴きながら早足で歩いていると、次第に身体も温まってきて、
歩き終えた頃には頬に当たる風の冷たさが心地よいほど、身体が火照ります。


デイブ・バレンティンのフルートは、真っ青に澄み切った冬の空を、
翼を広げ悠然と飛ぶ鳥の姿をイメージさせます。
そんなイメージのデイブの名演が、ギタリスト宮野弘紀のデビュー作
『MANHATTAN SKYLINE』（81年）に収められた
「Sunset City」でのソロ・ワーク。
ニュー・ヨークのセントラル・パークの上空を飛ぶ鳥が瞼に浮かぶ、
映像的な演奏です。

デイブのフルートはどんなアーティストのアルバムに入っていても、すぐデイブとわかります。
ブラインド・フォールド・テストでも、デイブのフルートなら当てる自信があるかも。
歌い吹きでカデンツァを作り、自分のフルートと同時にハモる離れ業もスゴいですけれど、
デイブ以上にノリのいいリズム感を持ったジャズ・フルーティストを、ぼくは知りません。
ニューヨリカンの出自が、そのプレイにはしっかりと表れています。
さらにもうひとつ、デイブの特徴は、中低音の響きが豊かな太い音色。
この音色に惚れ込んで、ぼくはデイブのファンになったんです。

初めてデイブのフルートを聴いたのは、
ヴァイオリン奏者ノエル・ポインターの77年デビュー作
“PHANTAZIA”に参加した”Rainstorm”でした。
当時はまだソロ・デビュー前の無名のフルート奏者でしたけれど、
その個性的なフルートの音色が鮮烈な印象を残し、
すぐさまデイブ・バレンティンの名を覚えたものです。


デイブは78年にGRPから“LEGENDS”でソロ・デビューを果たし、
ＧＲＰの最終作となったのが、94年の“TROPIC HEAT”でした。
どんだけセンスがないのってくらい
ダサいジャケットが腹立たしいんですけど、
ぼくはデイブの最高傑作だと思っています。
フュージョン・レーベルの作品なので、
見逃している人もいるかもしれませんが、
内容はれっきとしたラテン・ジャズ・アルバム。
ティト・プエンテのオール・スターズ・アルバムでデイブを知る人にも、
ぜひ聴いてほしいアルバムです。

宮野弘紀 「MANHATTAN SKYLINE」 ユニバーサルミュージック　DCT1921 (1981)
Noel Pointer "PHANTAZIA" Blue Note CDP0777-7-89543-2-3 (1977)
Dave Valentin "LEGENDS" GRP GRPD9519 (1978)

コメント 3

参加作は数枚持っていますが、リーダー作となると店頭で見かけても、ちょっと安っぽいというか今ひとつ購買意欲が沸かないジャケ（ある意味お茶目な人柄を表しているともいえますが・・・）が多いため、購入にはいたっていませんでした。bunboniさんお勧めなら間違いないでしょうね。早速探してみます。
by Astral (2010-01-10 17:40) 

そういう方、ぜったいいらっしゃると思ってました。
ファンのぼくですら、買うのヤだなと感じたくらいですから…。
“TROPIC HEAT”は保証しますよ。
by bunboni (2010-01-10 17:51) 

うわあ！懐かしいなあ～、デイブ・バレンティン♪
一時期、良く聴きました。
宮野弘紀のデビュー作も聴いた覚えがあります。確かアコギの人ですよね～。
Latin Jazz、そしてフルートと言えば、先ずHerbie Mannが想起されますけれど、GRP創設のこの頃は、「旬な人」と言う感じで、このデイブ・バレンティンが、真っ先に想い出されます。

Latin Rockと言えば、Santanaの名盤「Caravanserai」を想い出すのですけれど、最後の名曲、“Every Step of the Way”でAggressiveなフルート・ソロを吹いている人は誰なのでしょうか？Santanaかな（笑）
by ペイ爺 (2010-01-20 11:46)