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マルーフの巨匠 シェイフ・レイモン [中東・マグレブ]

Cheikh Raymond.jpg

ライス・レコードがイスラエルのアラブ・アンダルース音楽専門レーベル、
マグダの配給を始めたようです。
すでにアルジェリア、オラン出身のユダヤ系ピアニスト、
モリス・エル・メディオーニの00年作などがリリースされていますが、
このレーベルはカタログが充実しているので、今後のラインナップにも期待できます。

ぼくがこのレーベルをはじめて知ったのは、
ユダヤ系アルジェリア人歌手シェイフ・レイモンのアルバムがきっかけでした。
シャンソンの名歌手エンリコ・マシアスの義父としても知られているシェイフ・レイモンは、
ユダヤ人が多く住んでいたコンスタンティーヌの生まれ。
マルーフの巨匠と呼ばれるとおり、気品のある格調高いヴォーカルを聞かせます。
時にウードの弦を叩きつけるようなバチ捌きで、柔らかく流麗な演奏にメリハリをつけています。
ヴァイオリンの流れるような演奏は歌ごころに溢れ、
歌のメロディとユニゾンでウードを弾くところなどはインドの古典音楽をホウフツとさせ、
味わい深くもスリリングな瞬間が楽しめます。

レイモンはアルジェリア独立闘争で巻き起こった反ユダヤ感情により61年に暗殺され、
その後アルジェリア在住のユダヤ人が、雪崩を打ってヨーロッパへ移住しました。
そんな過酷な歴史を残したレイモンの生前の名演を、
アラブ・アンダルース音楽に関心が高まる今こそ、聴いてもらいたいものです。

Cheikh Raymond "CHANT D’EXIL" Magda MGD023
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