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貧乏ですが、何か? グリーン・マンバ [南部アフリカ]

Green Mamba.JPG

サカキマンゴーさんがザンビアの旅で仕入れてきたグリーン・マンバは、
南部ザンビアでマションベ・ブルー・ジーンズと人気を二分するというカリンドゥラのバンド。
ギターやベースばかりでなく、ドラム・キットも手作りというその姿は相当にビンボくさく、
ああ、この地区には電気が来てないなと、想像してしまいます。
じっさいにこの一帯が未電化地区かどうかは知りませんが、
ザンビアと国境を接し、ザンビア以上に貧しい農業国のマラウィに、
ハンドメイドの楽器を演奏するバンドが多いのは、
そういうインフラ事情が大きく関係していることもまた事実です。

ラジオ・チクニというFMラジオ局制作のCDだというのに、ディスクはCD-R、
インレイはプリンター出力という粗末さが、またさらにビンボくさい。
まさしく田舎のバンド丸出しなわけですが、その音楽といったら、「貧乏ですが、何か?」てなもん。
音符が跳ね回るような、小型ギターのリズム・カッティングの小気味いいことといったら!
そのハツラツとした軽快なビートが、突き抜けた明るさをもたらしてくれます。
なんだかハワイアンやクロンチョンを聴いているような気分にもなって、自然と笑顔になりますね。

そこでは、南部アフリカらしいギター・バンド・ミュージックが聞けるわけですが、
80年代のようなエレキ・バンドではなく、ヒュー・トレーシーの時代に舞い戻ってしまったかのような
素朴きわまりない、アマチュアぽい音楽に先祖帰りした
ギター・バンド・ミュージックが繰り広げられています。
ザンビアで80年代に人気の高かったカリンドゥラは、欧米からの輸入音楽に押されて人気を失い、
首都ルサカではアメリカナイズされたヒップ・ホップやR&Bが主流となってしまったように、
現在のメイン・ストリームの音楽シーンに、かつてのザンビア音楽の輝きは見る影もありません。
中央と隔絶された周縁たる田舎に、アフリカ音楽らしいハツラツとしたエネルギーが
かろうじて残っているということが、このCD-Rから聴き取れます。

考えてみれば、近年の元気なアフリカ音楽といえば、
これと似通った状況が多いんじゃないでしょうか。
コノノ・ヌメロ・アンしかり、スタッフ・ベンダ・ビリリしかり。
活力を失ったメイン・ストリームの音楽に対し、周縁の音楽にはエネルギーが満ち溢れ、
奇しくもハンドメイド楽器を使っているという、ビンボくささまでもが共通しているじゃありませんか。

アフリカ貧困化の加速に伴う中産階級の没落が、
アフリカ音楽を衰退させていることは、いまや誰の目にも明らかですが、
これはアフリカに限った話ではありません。
一握りの金持ちとその他大勢の貧乏人という二極分化に世界が進むほど、
ポピュラー音楽は終末へと向かっていると、ぼくには思えてなりません。

Green Mamba "VOL.1 : MOYO TAUKKALI MUCAMBA" Radio Chikuni RCH013CD (2008)
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