試聴機様さま ニック・アユブ [北アメリカ]
ハード・バップを買ったのなんて、いったい何年ぶりでしょうか。
いや何年ぶりどころじゃないですね、何十年ぶりです。
たまたま試聴機にあったからなんですけど、昔のハード・バップなんて、普段見向きもしないのに、
なんで試聴する気になったのか、自分でも不思議です。
見たことのないジャケット、聞いたこともないミュージシャンの名前、
そんなところがひっかかったのか、なんとなくヘッドフォンをつけてボタンを押したら、
華麗なボサ・ジャズといった1曲目に、頬が緩みました。
ほかにも高速バップ・チューンあり、ラテン・ジャズあり、軽快なモーダル・チューンありと粒揃い。
なかなかじゃないの、とばかり買っちまったわけです。
カナダのサックス奏者の64年作とのこと。きっとオリジナルはウン万円とかのレア盤なんでしょうね。
それにしても、こういう試聴機って、いつからお店に並ぶようになったんでしたっけか。
試聴機がなかったら、ぜったい出会えなかったろうなというCDもいっぱいあって、
ほんとにいい時代になったもんだと思いますよ。(おじいちゃんの回顧録風)
試聴機なんてものが、万年金欠だった中学・高校時代にあったらよかったのにねー。
あの頃といえば、ある程度予想のつくレコードを買う時以外は、すべて冒険でしたから。
ぜんぜん内容のわからないレコードを手にした日には、ジャケットを穴の開くほど凝視しては、
ほんとにこれを買っても大丈夫かとさんざん迷った末に、やっとレジへと持っていったもんです。
知らないジャンルのレコードに挑戦する時だとか、中身がわからずジャケ買いする時なんて、
ほんと清水の舞台から飛び降りるつもりでレコードを買ったもんです。
そんな大げさな、って、イマドキの若者は思うだろうけど、
おこづかい比で考えれば、当時のレコードの値段って、今の倍はしてたんですからね。
今みたいに、手取り足取りのガイドブックがあるじゃなし、少ないこづかいから
予備知識ゼロのレコードを買うのは、ほんとに勇気がいったもんですよ。
だって、はずれ1枚買ったら、1週間分の昼飯代がパーなんですからね。(泣)じゃすみません。
それがいまや、ネットでいくらでもサンプル試聴できるし、マイスペなら全曲まるごと聴けちゃう。
今の若い子がうらやましいです。
Nick Ayoub Quintet "THE MONTREAL SCENE" Ear this! ETRCD01 (1964)
2010-04-24 00:20
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