アンタが歌え! トー・アルヴィス [西アフリカ]
カーボ・ヴェルデ音楽って、どーしてつまんないCDばっかり流通してるんでしょうか。
これ、ずっと昔からぼくが持ち続けてる疑問です。
カーボ・ヴェルデにはモルナやコラデイラのほか、
フナナーやバトゥクなどなど多彩な音楽の宝庫だというのに、
その魅力をきちんと伝えるCDが流通していないのは、嘆かわしいとしかいいようがありません。
カーボ・ヴェルデのザディコと呼びたいフナナーなんて、
アコーディオンの響きがグルーヴを巻き起こすゴキゲンなダンス・ミュージックなのに、
昔のワールド・ミュージック・ブーム時代に、
アコをシンセで代用したポップ・フナナーのバンドばかりが紹介されてしまい、
フナナーの本当の魅力が伝わらなかったのが、なんとも残念です。
ついでに、当時フナーナなんてヘンなアクセントで書かれて紹介されましたが、
アクセントは最後の母音にあるので、フナナーもしくはフナナです。
さて、そんな誤解の多いカーボ・ヴェルデ音楽ですが、
ぼくにとって最大の疑問は、セザリア・エヴォーラの人気ですね。
はっきり言っちゃいますが、なんであんなへたくそな歌手がもてはやされるのか、
ぼくには、じぇんじぇん、わかりませーん。
アマチュアぽい素朴さがいいつったって、あーた、限度ってもんがあるでしょ。
有名になりすぎて、ほかの歌手のアルバムにゲスト参加するのなんて、
ほんとお願いだから、やめてくれと言いたくなります。
たとえば、サリフ・ケイタの『モフー』。
アルバムの冒頭でセザリアが登場するなんざ、最初に聴いた時はウンザリしましたよ。
その後何度も聴いて、多少我慢できるようになったとはいえ、
おじゃま虫であることに変わりありません。
で、セザリア・エヴォーラ絡みで持ち出したいのが、トー・アルヴィスです。
セザリアのバンドでカヴァキーニョを弾いている人なんですが、
06年にリリースしたソロ作を聴いた時は、びっくりしてしまいました。
なんてダンディーで、甘やかさにあふれた歌なんでしょうか。
なめらかなヴェルヴェット・ヴォイスには、男のぼくでさえウットリしちゃいましたよ。
こんなに歌える人が、なんでセザリアの裏方なんかやってんの?
アンタが前に出てきて、歌えよ、と言いたくなってしまいました。
アルバムは、アクースティックな響きを活かしたサウンドで、
コラデイラ、モルナ、フナナーなど多彩なカーボ・ヴェルデ音楽をポップに仕上げた極上品。
マラヴォワあたりが好きな人にも聴いてもらいたい、良質のクレオール・ポップ・アルバムです。
鳴り物入りで大スイセンしたいアルバムなんですが、
ほぼ自主制作のようなインディ盤のため、日本にはまったく入ってきていません。
インディ制作とはいえ、メジャー作品となんら遜色のないプロダクションなのだから、
もったいないったら、ありゃしない。
実は良質のカーボ・ヴェルデ音楽CDって、このようなインディ盤が多く、
反対にメジャーが出しているものは、水で薄めた中途半端なポップ作ばかり。
だから、「どーしてつまんないCDばっかり流通するのか」って嘆くハメになるわけです。
Tó Alves "HÓ MÃE MAS JUSTA" no label, no number (2006)
2010-04-26 06:13
コメント(4)
Funana!! 知りませんでした!!知ってしまいました!!(一先ずYoutubeで見ただけなのですけど・・・)すごく好みです!!ラッパーみたなのがいる最近のスタイルも、妙に独特で好きです。
このブログでは本当に色んな素晴らしいものを知ってしまいます。。。。
by たくと (2010-04-26 08:43)
たくとさんのところでもアコが正式メンバーになったところで、フナナー、どうでしょう。
フナナー+ラップっていうと、フェロー・ガイタっていう、
とびっきりイキのいいフナナーのグループのサンプルをバックに、
ラップをするイゼー(Izé)って人がいますが、youtubeで観たのはイゼーでしょうか?
by bunboni (2010-04-26 12:42)
イゼーさんも聴きました!でも、E Nhos ki ta mandaていう、田舎の暴走族みたいなグループ?のが荒っぽくて良かったです!すごい不協和音で、ジャンクな雰囲気満々ではありましたが!同じギャングスタ的なズークでも、アンゴラみたいに殺伐としてませんね。
でもダンス動画のバックで流れていたトラディショナルな雰囲気のものはやっぱりもっとご機嫌でした!So Cu Peていう曲はスタンダードナンバーなんでしょうか?80年代生まれには懐かしい和音の雰囲気があって良い曲だな〜と思いました。
演るなら、渋い音より、いっそそんなバブル(!?)な浮かれて軽薄、かつ切ない雰囲気の方で、演ってみたらスカっとしそう!!と思ってます。。。あー、CD入手して大きい音で聴きたいです!!
by たくと (2010-04-27 04:39)
すごい!あっという間にいろんなフナナーを聴いたんですね。
ぼくも今度、E Nhos ki ta manda というのを見てみよう。
いい音楽と出会えるかどうかは、なんか面白そう!と好奇心が動く、
その時のイキオイが大事ですからね。自分の嗅覚を信じて、突き進んでください。
by bunboni (2010-04-27 12:41)