アイドルのルーツ還り カロリーナ・ゴチェヴァ [東ヨーロッパ]
カロリーナ・ゴチェヴァは、マケドニア代表としてユーロヴィジョンに2度出場した経歴を持つという、
マケドニアのトップ・アイドルだそうです。これまで全然知らない人でしたが、
マケドニアの伝統音楽を取り上げたという最新作で、はじめてその名を知りました。
その08年の最新作は彼女の15作目にあたり、より幅広いファン層の獲得を目指したとのこと。
要するに、アイドルを脱皮して、大人のファン層を取り込もうというネライなんでしょうが、
なるほどその企画によくはまったアルバムに仕上がっています。
作曲家ズラトコ・オリガンスキの全面的なバックアップのもとに制作された本作は、
陰影のある伴奏にのせて物憂げな表情を見せるかと思えば、
アコーディオン、クラリネットが活躍するダンス・チューンではキリリと歌うなど表情を使い分け、
大人の味わいを醸し出す歌手へと変身を遂げていて、なかなか魅力的です。
そういえば、こんな感じのアルバムで最近話題になったのに、
ロシアのアイドル歌手アルスーの“TAGUN TEL”がありましたね。
アルスーが結婚休暇から復帰したのを機に、それまでのイケイケ路線を捨て、
自分の故郷であるタタール地方の音楽に目を向け、
タタール語やバシキール語で歌った一作でした。
最初ぼくはこのアルバムを、ユニヴァーサルの正規盤でなく、
アイドル・ポップ時代の曲をボーナス・トラックで11曲も追加した海賊盤で手に入れたので、
その両者のギャップの大きさには驚きました。
アイドル歌手が一定の人気や地位を確保したあと、ルーツに還るというのはよくあることで、
そうした作品に意外な傑作が生まれるのも、これまた昔からよくあることです。
四半世紀前には、オフラ・ハザの“YEMENITE SONGS”(85)なんてのもありました。
覚えてます?
Karolina Gočeva "MAKEDONSKO DEBOJČE" City CD000657 (2008)
2010-05-06 06:04
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