ジャカルタ下町の臭気 ガンバン・クロモン・モデルン・ナガ・サリ [東南アジア]
マレイシアがガザルなら、インドネシアはガンバン・クロモンだっ!
てわけじゃないんですけど、立て続けに大衆臭の強烈なアルバムに出くわしたもんで。
ガンバン・クロモンといえば、ジャカルタがバタヴィアと呼ばれていた古き昔から、
華人が伝えてきた音楽としてよく知られているとおりですね。
70年代にベニャミン・Sが登場して、ガンバン・クロモンにファンキーなR&B感覚を取り入れ、
現代的なポップスにブラッシュ・アップしたガンバン・クロモン・モデルンをクリエイトしましたが、
ベニャミン・Sの死とともに、ポップスの第一線から後退した感がありました。
このナガ・サリというグループも、モデルンの冠をいただいているものの、
近年のダンドゥット・アレンジのガンバン・クロモン・モデルンではなく、
昔ながらのガンバン・クロモンを演奏しています
モデルンなところがあるとすれば、ビート感覚とエレキ・ギターを使っているところでしょうか。
だからといって、伝統保存みたいな音楽になってしまっているかといえば、そんなことはなく、
その昔大衆演劇の幕間で歌われていたという、
下世話さたっぷりのガンバン・クロモンを披露してくれます。
木琴(ガンバン)にルバーブと笛、そして時にエレキ・ギターが絡みつくように演奏され、
バックで打ち鳴らされるゴング(クロモン)の響きとともに、
臭みたっぷりの男女ヴォーカルが交叉します。
なかでもすごいのが、サニンという女性歌手の歌。
音程も怪しげな調子ぱずれな歌を堂々と歌うのだから、圧倒されます。
このナマナマしさにガンバン・クロモンの真髄を感じさせますね。
腹をすかせて迷い込んだジャカルタの下町で、脂ギトギトのまかない飯を出された気分です。
Gambang Kromomg "Naga Sari" "LAGU-LAGU TERBAIK GAMBANG KROMONG TEMPO DOELOE" Citra Suara CSS8012
2010-05-14 07:25
コメント(2)
このCDは知りませんでした。欲しいですね。
いまどきこんなCDがインドネシアで出るとは。
by 東京レコ・オヤジ (2010-05-14 20:49)
そうですね。カセットならいざしらず、よくCD化したものだと思います。
by bunboni (2010-05-14 20:52)