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お悔やみ パウロ・モウラ [ブラジル]

K-Xim Blues.JPG

ブラジル音楽界最高のクラリネット兼サックス奏者、
パウロ・モウラが7月12日に亡くなったそうです。享年77。
毎年新作をリリースし、精力的に活動していたのになぜと思いましたが、
ガンだったとのこと。あまりに唐突な訃報は、ショックでした。

パウロ・モウラは、日本でサンバ・ブームが巻き起こった79年、
「ブラジリアン・カーニヴァル」の団長として来日し、全国公演を行いました。
ぼくは、スピック&スパンや長谷川きよしと共演した、
六本木ピットインのライヴを観たのを覚えています。
何年か前に、ジョイスのゲストで来日した時は、
ゲストなんかで来る人じゃないよ、とフンガイしたもんです。
パウロのグループでライヴを観たいなあと思ったものですが、それも叶わなくなってしまいました。

パウロ・モウラは、ショーロ、サンバ、ガフィエイラ、ボサ・ノーヴァ、ジャズ、クラシック、
そのすべてに精通したマエストロでした。
前にも書いたことがあるように、ショーロが好きなぼくにとっては、
83年のショーロ・アルバム“MISTURA E MANDA”が一番好きなアルバムですけど、
今日はもうひとつのフェバリットであるジャズ・アルバムを聴いて、ご冥福をお祈りしたいと思います。

そのアルバムは、33年生まれのパウロ・モウラの先達にあたる、
17年生まれのクラリネット兼サックス奏者カシンビーニョの曲を演奏した、99年ライヴ録音です。
カシンビーニョもショーロ、サンバ、ガフィエイラ、ジャズなどさまざまな音楽を演奏した人で、
数多くの名曲を作曲した作曲家としても知られる人です。
“MISTURA E MANDA”のラストに、カシンビーニョの“Ternura”が収録されていましたが、
このライヴ・アルバムでも再演しています。

ぼくの大好きなハーモニカ奏者マウリシオ・エイニョルンと
ギターのネルソン・ファイアがサイドを務め、二人のプレイはまさしくジャズそのものなのですが、
パウロ・モウラの歌心あふれるクラリネットの演奏は、
やはりショーロがベースとなっていることを強く感じさせます。
ジャズ・プレイヤーで、パウロのようにアドリブすべてがメロディーになる人といえば、
ポール・デズモンドくらいしか、ぼくには思いつきません。

Paulo Moura "K-XIM BLUES" Rob Digital RD046 (2002)
コメント(2) 

コメント 2

ペイ爺

なるほど、確かにPaul Desmond のアドリブは、メロディアスですね。Brubeck とやってるのも良いとは思うんですが、Jim Hall、Percy Heath、Connie Kay などと共演したのが大好きで良く聴きます。

Desmond 独特ののセンシティヴ、メロディアスなアドリブ全開という感じで。80年代に限定7500部で出たMosaic RecordsのBOXレコード・セット“The Complete Recordings of The Paul Desmond Quartet with Jim Hall”、今でも宝モノなんです。
by ペイ爺 (2011-05-07 23:47) 

bunboni

ポール・デズモンドは、ノリの硬いブルーベックより柔らかなコニー・ケイの方が相性いいように思います。
64年の“BOSSA ANTIGUA” は、ブラジル人の手を借りずアメリカ人ミュージシャンだけで演奏した、ボサ・ノーヴァの最高傑作じゃないでしょうか。
by bunboni (2011-05-08 00:22) 

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