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夏が来た! タニヤ・サン=ヴァル [カリブ海]

Tanya St. Val.JPG

夏だ!海だ!ていう年ではもうないですけど、夏が来ると、やっぱ気分はアガります。
毎年、夏気分を盛り上げる定番となっているのが、タニヤ・サン=ヴァルの“MI”。
これを聴かなきゃ、夏は始まらないという、ぼくにとって最高のアルバムです。
タニヤ・サン=ヴァルの最高傑作ってだけじゃなく、ズークを代表する1枚でしょう。

ズークは85年のカッサヴの大流行で、一躍カリビアン・ポップの最前線に躍り出ましたけど、
ごく短い期間の流行で終わり、あっという間に失速してしまいました。
このアルバムがリリースされた94年は、ズークにとって、もはや宴のあとの時代。
でも音楽的な成果でいうと、90年代に入ってからの方が、実りある作品が多く出たように思います。

ズーク登場当時のDX7を中心にしたデジタル・サウンドは、
はじめこそカッコよく響きましたけど、
次第に打ち込みの硬質なサウンドが耳につき、すぐに飽きがきました。
そもそもズークは島のホームランドで熟成された音楽ではなく、
フランスへ移民したスタジオ・ミュージシャンたちが、
パリでクリエイトした音楽だったことに、足腰の弱さがあったんでしょう。

90年代になると、DX7中心の80年代サウンドを脱皮して、
生音で勝負する傾向がズーク・シーンにも生まれてきます。
一方、R&B/ソウルへ接近するベクトルもあって、
タニヤもつまんないブラコン・ズークを作ったりもしてますが、
この“MI” ではパーカッションの生音をサウンドの要にして、
タニヤの生まれ故郷のグアドループへと回帰しています。

その強力なパーカッション陣を担っているのが、
パーカッションを中心に総勢30名近いメンバーを擁する、
グアドループのカーニヴァル・バンド、アキヨです。
このアルバムでは11人が参加し、ヴィデなどグアドループの伝統リズムを叩き出しています。

タニヤも島の娘らしいセクシーな歌声を響かせ、水を得た魚のよう。
ブラコン・ズークを歌っている時とは、声のうるおいがぜんぜん違います。
アクースティック・ギターを要所要所に効果的に使い、
ズークのデジタルぽさを抑えたサウンドづくりも成功しています。
全曲捨て曲なし。ラストのとびっきりチャーミングな“Bye Bye”まで、
みずみずしいカリビアン・サウンドがいっぱいで、夏満開です。

Tanya St. Val "MI" Philips 526548-2 (1994)
コメント(4) 

コメント 4

東京レコ・オヤジ

>タニヤ・サン=ヴァルの最高傑作ってだけじゃなく、ズークを代表する1枚でしょう。
まさにbunboni さんの言うとおりです。異論なし。
もう15年以上の愛聴盤ですが全く色あせません。
オイラにとっては一生ものです。

by 東京レコ・オヤジ (2010-07-19 23:15) 

bunboni

お! オヤジさんもそうでしたか。
野音あたりで観てみたいなあと思い続けましたけど、いまだ実現せず。
誰か呼んでくれないもんですかね。
by bunboni (2010-07-20 07:00) 

土木作業員

私も大好きな盤です。マルチニークに行った時がちょうどリリースのタイミングで、(グァドループでないのがチト残念。)フォールドフランスの街中に鮮やかでシャレオツなポスターが貼られてたのを覚えてます。何枚も勢いで買って帰っりましたもん。これを一生モンとするオッサンが最低3人は日本にいる事を今!確認しました。
by 土木作業員 (2010-07-20 23:37) 

bunboni

う~ん、そのポスターも欲しいっ!
by bunboni (2010-07-21 06:34) 

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