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AWA CRAZY DANCE ザ・スペイスメン [日本]

The Space Men.jpg

秋祭りの季節になると、手が伸びる一枚。
いわゆるモンド盤なんですけど、これ、あなどれませんよ。
日本民謡とエレキバンドのたぐいまれなる邂逅。
この手の試みはクサるほどあれど、繰り返し聴くに足るものは稀です。

寺内タケシとブルー・ジーンズの『津軽じょんがら』というのもありましたけど、
親分だけが弾きまくり、バンドはおとなしく伴奏を付けてるだけってのがツマんない。
バンド全体がグルーヴしなくっちゃ、ねえ。

で、ザ・スペイスメンです。
1曲目「阿波踊り」のサイケデリックなフレーズを駆使してキレまくるギター、
ドライヴするホーン・セクションに、血流があがります。
この1曲目がスゴすぎて、ほかはやや大人しく聞こえてしまいますが、
アルバム全体を通して、エレキ・ギターばかりを押し出しているわけではなく、
バンド・アンサンブルをよく考えたアレンジとなっているところがミソ。

こういうアレンジのセンスって、ビッグ・バンドのアレンジをやっていたか、
ラテン・バンドの出身なんじゃないかとにらんでるんですけど、違うかなあ。
「おてもやん」や「チャッキリ節」の小粋なアレンジなんて、ほんとニクイばかり。
少なくとも、ベンチャーズやアストロノウツみたいなインスト・ロックを範にしたバンドとは、
ぜんぜん出自が違うバンドだと思うんですけどね。

<エレキで民謡をやる>というテーマと曲目だけが決まっていて、
ハコバンやってるバンドマンたちに、あとは適当にやっといてよみたいなことをいっといたら、
こんなん出来ました、みたいな感じだったんじゃないのかなあ。
いい加減な企画ものだったのが、<ひょうたんから駒>に大化けした作品だったのでは。
ハコバンの演奏家というのは、ジャズもラテンもハワイアンもロカビリーも、
要求される音楽はなんでもこなせなきゃ務まらない、プロ中のプロなわけで、
ふだんが譜面ばっちりの、型にハマった演奏しかさせてもらえないだけに、
自由にのびのび演奏できるとなったら、
思いっきり狂えるみたいなところがあったんじゃないんですかね。
スキルはあるだけに、ふんだんにあるアイディアも具現化できるし、アレンジも楽勝、
そうして生まれたのがこのアルバム、って想像してるんだけど、どんなもんでしょう。

この当時のエレキバンドやリズム歌謡にまったく明るくないので、
的外れだったらごめんなさいですが。
民謡を単なる素材に取り上げただけで終わらず、
祭りのエネルギーを見事にエレキ化したこのアルバムを今年も聴きながら、
またそんなことを思ったのでした。

ザ・スペイスメン 「AWA CRAZY DANCE ~阿波踊り/エレキ・ギターで民謡~」 ブリッジ BRIDGE034 (1965)
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