「アトラスのライオン」復活 ナジャ・アータブー [中東・マグレブ]
姐さん、お帰りなさいましっ!
モロッコ歌謡界最強の女性歌手ナジャ・アータブーの新作に、往年の輝きが戻りました。
ここ4~5年パワー不足のアルバムが続き、
ナジャもなんだか元気がなくなっちゃたなあと思ってましたが、
さすがは「アトラスのライオン」の異名を取るナジャ、ゴッド姐さんぶりはどっこい健在でした。
この新作では、滑舌よく母音を叩きつける激しい歌いっぷりが蘇り、
ひっくり返る裏声使いや、フレーズのお尻をくいっとヒネって歌うナジャ節が炸裂しまくってます。
二十年前はじめてナジャを聴いた時は、ぶったまげたもんです。
モロッコ人の気性の荒さは有名ですけど、そのイメージをさらに倍加させるような
激烈な歌いぶりに圧倒され、いっぺんでファンになりました。
ナジャが歌うアトラス地方のリズムを取り入れた都市歌謡シェイハートは、
アルト・ヴァイオリンのカマンジャ、ウード、ベンディールに、
シンセサイザーや打ち込みを加えたのが標準的な編成。
プロダクションのお粗末さは、ローカルなライやレッガーダと変わらず、歌手の力量が命。
歌さえ良けりゃあ、バックがどんなにチープだってオッケーってことです。
ライは世界市場に通用するプロダクションの作品もリリースされるようになりましたが、
ナジャはいまだローカル仕様のプロダクションに止まっているのが残念ですね。
リミッティの“N’TA GOUDAMI” に匹敵するようなアルバム、誰か作ってくれないもんかなあ。
ケミカル・ブラザーズがサンプルしたヤスっぽいテクノ・トラック、
“Galavanize” ぐらいでしか欧米のリスナーには知られてないナジャですが、
彼女の本当の底力を、広く世界にも知らしめてほしいものです。
Najat Atabou "KANEBKI ÂLA ZHAR LI MAÂNDICH" Fassiphone CDFES579 (2010)
2010-10-07 06:57
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