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人生は楽し パパ・ウェンバ [中部アフリカ]

La Vie Est Belle.jpg

パパ・ウェンバが主演した映画“LA VIE EST BELLE”(87)がDVD化されました。
日本では一般公開されず、「アフリカ映画祭'89」で3回上映されただけなので、
観た方は少ないかもしれませんが、なかなか面白い映画なんですよ。
芸術祭向けのマジメなテーマが多かった「アフリカ映画祭'89」の参加作のなかでも、
出色の娯楽作品だったことをよく覚えています。

プロ・ミュージシャンを目指して首都キンシャサに上京した田舎出の青年が、
靴磨きやナイトクラブを経営するパトロンのハウス・ボーイをしながら成功を夢見る、
といったあらすじのコメディーです。
音楽と恋愛というエンタメ二大要素を中心に据えながらも、
アフリカの矛盾に満ちた都市生活を見事にあぶり出しているところが秀逸なんですね。
労働者と富裕層の厳然たる貧富の差や、一夫多妻の問題、
近代的な生活をしながら呪術師に頼る日常生活など、近代と伝統の拮抗といったテーマを
実にうまく活写していて、キンシャサの現実を見せてくれました。
田舎出の青年クル演じるウェンバほか、恋人役のカビビ、歌手として登場するペペ・カレなど、
俳優は素人ばかりなのに、皆演技が巧いのには感心させられましたね。

この作品はコンゴとベルギーの共同制作ですが、
監督は50年ブカブに生まれた生粋のコンゴ人、ムエゼ・ンガングラが務めました。
ンガングラ監督初の長編映画であるとともに、
コンゴの一般の映画館で上映された、初の長編映画でもあったそうです。
それまでのコンゴには国産の映画がなかっただけに、大ヒットとなったわけですね。
主役にキンシャサの庶民が憧れるパパ・ウェンバが演じたのだから、なおさらです。
当時サウンドトラック盤もリリースされ、日本にも入ってきたので、映画を観たことはなくても、
ウェンバの歌う“La Vie Est Belle”(人生は楽し)を聴いたことのある人は、
結構いるんじゃないんでしょうか。

DVDには字幕が付いてないので、フランス語がわからない人にはちょっとキビしいかもしれません。
ぼくもフランス語はまったくダメなので、昔観た字幕付映画の記憶でなんとか理解できましたけど、
はじめて観る方は、その点だけご注意ください。

[DVD] Ngangura Mweze "LA VIE EST BELLE" Rue Stendhal 0070-2 (1987)
コメント(2) 

コメント 2

アフマリリス

観ましたよ、この映画、面白くてすっごく印象に残ってます

偶然今日は、今やっている「アフリカ映画祭」でルムンバ殺害から、ゲバラのコンゴ支援、その後、とキューバアンゴラ支援まで、壮大に描くドキュ見てきました

「ラ~」とはまったく違う世界。

そ言えば、今年は「ベンダ・ビリリ」も来ましたね
by アフマリリス (2010-11-16 22:04) 

bunboni

非アフリカ人が「鑑賞」する映画祭用などではない、自分たちのための娯楽作品が、もっとアフリカで増えてくれればと思います。
by bunboni (2010-11-16 22:11) 

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