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エジプトのシンデレラ レイラ・ムラッド [中東・マグレブ]

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ムハンマド・アブドゥル・ワッハーブが見出したといわれるレイラ・ムラッドは、
30~50年代に一世を風靡した歌う女優さん。

ユダヤ系モロッコ人で歌手の父とユダヤ系ポーランド人の母のもと、
1918年カイロに生まれ、俳優兼作曲家の兄のムニール・ムラッドの影響もあり、
幼い頃から歌手や女優を目指しました。
1932年初録音、同年映画にも初出演し、その後ワッハーブの後押しによって、
前回話題にあげた38年の映画“Yahya Elhob (Long Live Love)” に抜擢されます。
この映画は、のちにワッハーブの代表曲となる曲がたっぷりとフィーチャーされていて、
映画の大ヒットにより、ワッハーブとデュエットしたレイラは一躍、
「アラブ映画界のシンデレラ」と称されるスターとなったのでした。

ユダヤ系の家庭に育ったレイラですが、46年にイスラームへ改宗し、翌47年結婚します。
53年、イスラエルへの資金提供とスパイの嫌疑をかけられ、
シリアのラジオ局からボイコットを受けるという事件が起こります。
これらの嫌疑が事実無根とわかった後にも、いわれのない誹謗中傷が続き、
レイラは人気絶頂のなか、多くの人に惜しまれながら、引退してしまいました。
のちの大統領となったウム・クルスームびいきのナセルが、レイラ人気を邪魔に思い、
引退に追い込んだと信じるエジプト人は多いとのことですけど、真相は明らかになっていません。

そんなわけでレイラはLP時代を迎える前に引退してしまったので、アルバムは少ないのですが、
ぼくが愛聴してきたのは、戦前録音中心のバイダフォン盤とカイロフォン盤の2枚。
カイロフォン盤の方は、以前ライスから発売が告知されたものの、
発売中止となってしまったのは残念でしたが、いまも入手は容易なので、
レイラをはじめて聴く方にはおすすめです。

530.JPG   Sanatain.jpg

ほかにはSoutelphan盤もありますが、
30~50年代の録音をアトランダムに並べた曲順がペケ。
聴きものは古い録音の方なのに、魅力に乏しい50年代の長編曲を
1曲目にするセンスは理解不能。ラストに置くべきでしたね。
本盤と同内容のアルバムが、99年にヴァージン・フランスの
「アラビアン・マスターズ」シリーズでもリリースされたので、
レイラ・ムラッドのCDでは一番聴かれているアルバムだと思いますが、
もしバイダフォン盤やカイロフォン盤をご存じなければ、そちらをぜひ。

Layla Mourad "LA VOIX D’OR LAYLA MOURAD" Baidaphon BGCD616
Leila Mourad "THE BEST OF LEILA MOURAD" Cairophon CXGCD615
Laila Morad "THE BEST OF LAILA MORAD" Soutelphan GSTPCD530
Layla Murad "SANATAIN" Virgin 7243 8 48366 2 7
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