ベドウィンのディープ・ブルース シェイフ・ハマダ [中東・マグレブ]
仕事の緊張と興奮でぱんぱんになった頭を、リセットするのに役立っているのが、
ベドウィンのディープ・ブルース、ガルビの名歌手シェイフ・ハマダです。
20年近く前、フランスのクラブ・デュ・ディスク・アラブ(AAA)がリリースしていた
アラブ・アンダルース音楽の復刻CDのなかでも、
とびきり異色なアルバムとしてホレ込んだ一枚です。
異色というのは、ガルビが他のどのアラブ・アンダルース音楽とも肌合いの違う
音楽性を持っていたからで、最初聴いた時は、ベルベルの民俗音楽かと思ってしまいました。
ガルビは、リードの付いた笛(ガスパ)と片面太鼓(ゲラール)という、
ベルベル系民族の伝統楽器を伴奏に歌う野生味あふれる大衆音楽で、
そのブルージーな感覚は、まさしくベルベルのディープ・ブルースと呼びにふさわしいものです。
シンプルな反復フレーズを繰り返すガスパとゲラールの演奏にのって歌うハマダの吟唱は、
ストリート感覚を強く感じさせるもので、音量MAXにして耳から流し込むと、トランスできます。
ライナーの解説によると、1906年にガルビの名付け親である
シェイフ・モハメッド・セヌーシが初録音を残し、
10年にはウールド・エル=ムンワールとウールド・ザウィが、
26年にはシェイフ・ハマダとシェイフ・ベン・フミダが、
ガルビの歌い手として初録音を残したとあります。
20年代後半から30年代はアラブ・アンダルース音楽が多様化した時代で、
アルジェリア西部オランの町で育った「西方」を意味するガルビは、
その独自のサウンドで人気を高めることになったようです。
ベドウィンの白いターバンの装束で歌ったシェイフ・ハマダは、
そのエキゾティックなルックスで、さぞ注目を集めたのではないのでしょうか。
やがてガルビはリミッティへと受け継がれ、ライ誕生の大きな下地となります。
AAA盤には録音年が記載されていませんが、20年代後半もしくは30年代録音と思われます。
他には、オランの音楽にスポットをあてたコンピレに46年録音の1曲が収録されていて、
女性歌手がお囃子を務めるガルビを聞くことができます。
Cheïkh Hamada "LE CHANT GHARBI DE L’QUEST ALGÉRIEN" Club Du Disque Arabe AAA078
Cheikh Zouzou, Cheikh Hamada, Cheikh Ben Achitte, Saoud El Ouahrani, Reinette El Ouahrania
"ALGÉRIE - PANORAMA DE L'ORANAIS 1937-1946" Buda Musique 82221-2
2011-03-28 00:00
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