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ストーリーテリング・ジャズ ブラックシープ [日本]

blacksheep 2.JPG

ブラックシープの新作と聞いて、おおっと思ったところ、
ジャケットのゴスロリ少女に、うげっ。
いい大人が「萌え~」とか言ってる、今日びの世の中の幼児性にはウンザリしているので、
カンベンしてくださーい、と叫びたくなります。
なんでブラックシープのジャケがこれなんだよと、情けなくなりましたが、涙をのんでガマン。 

ブラックシープは、渋さ知らズ、藤井郷子オーケストラなどの
バリトン・サックス・プレイヤーとして活躍する吉田隆一が、
トロンボーンの後藤篤、ピアノのスガダイローとともに05年に結成した変則トリオです。
フリー・ジャズ~ミニマル・ミュージック~現代音楽の垣根を飛び越えた演奏と、
ドラマティックな楽曲が持ち味のグループですね。
08年のデビュー作を聴いて、こいつはスゲエやとファンになったんですが、
2作目はさらにスケール感を増した仕上がりとなっていて、このトリオの実力にウナらされました。

バリトン・サックス、トロンボーン、ピアノ各楽器を鳴らし切った演奏も胸をすきますが、
ラウドな場面から静寂までが十分にコントロールされていて、
奔放なインタープレイといったものとは質の異なる演奏を聞かせるところに、
このトリオの良さがあります。
抑制と計算の行き届いたその演奏ぶりは、藤井郷子のジャズにも相通じますね。

特に藤井郷子との共通性を感じさせるのが、吉田隆一の楽曲。
吉田の作風にはドラマがあり、各曲につけられた日本語のタイトルにも示されているとおり、
演奏全体がひとつの物語を奏でています。
物語の場面の進行にしたがって、あるときは繊細に、またあるときは激しく荒れ狂うなど、
変幻自在な即興の中に、色彩感のあるハーモニーを組み込んでいて、
ぼくはそこにこのトリオの魅力を一番感じます。

このアルバムは限定客数40人の公開レコーディングで行われたとのことで、
ぴんと張りつめた空気感が伝わってくる録音も最高ですね。
あとは、このマンガさえなけりゃあなあと、ぶつぶつぶつ……。

ブラックシープ 「2」 ダウトミュージック DMF140 (2011)
コメント(2) 

コメント 2

アルバイテン

>いい大人が「萌え~」とか言ってる、今日びの世の中の幼児性にはウンザリ

まったくの同感であります。ギャグではなく本気の人は、特に。ちなみにジャケットを手がけている西島大介という漫画家は、9.11やベトナム戦争をモチーフに、批評精神溢れる作品を数多く発表しているんですが、ブラックシープは恐らく、そのあたりを踏まえて、依頼したのかもしれませんね。それにしても、なんでゴスロリ少女なんでしょうね、うえぇぇ(笑)。そう言えば、友人が結婚披露宴の入場曲に、ブラックシープの楽曲を使っていて、椅子から転げ落ちそうになった経験があります(笑)。
by アルバイテン (2011-04-18 18:31) 

bunboni

結婚披露宴の入場曲でブラックシープって…。
すごい前衛なご夫婦がおられるんですねえ。おそれいりました。
by bunboni (2011-04-18 22:34) 

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