夜に踊れば ゼー・カフォフィーニョ [ブラジル]
あいかわらずトボけてんなー、この人。
ノルデスチ流のよじれた音響派アクースティック・スウィング(?)を聞かせる、
レシーフェのシンガー・ソングライター、ゼー・カフォフィーニョのセカンドです。
デビュー作の“UM PÉ NA MEIA, OUTRO DE FORA” を聴いた時は、
そのやる気のなさそうなダルなヴォーカルと、
ひなびたフィドルやチェロに、ひょうひょうと吹かれるミュート・トランペット、
小刻みにカッティングされるカヴァーキーニョが奏でる、
すきまだらけのサウンドに、ノケぞったものでした。
デビュー作の路線を引き継いだこのセカンドも、まったく変わってませんね。
バンジョーやフィドルの枯れた音に、怪しげなシンセやオルガンがエフェクトとしてあしらわれ、
北東部のリズムに、レゲエやガフィエイラのスウィンギ(ジャズ風サンバ)も織り交ぜ、
実に複雑な表情を見せてくれます。
レオン・レッドボーンを土臭くしたような脱力ヴォーカルのゼーの歌が、
浮遊感のあるサウンドにたゆたうと、なんだかあの世の音楽のようにも聞こえますよ。
ゼー自身、東欧のブラスバンドやアフリカの音楽など、
さまざまな音楽からの影響を告白していますが、
一度聴いたら忘れられないこのユニークなサウンドには脱帽です。
今度のアルバムにはブラジル音楽界の大物、リルド・オーラが、
歌とハーモニカでゲスト参加してます。
リルド・オーラといえば、
70年代サンバの立役者的な名プロデューサーとして知られていますけど、
出身はペルナンブーコのカルアルーで、
近年は北東部の音楽に立ち返ったアルバムを制作していました。
ゼーの父親がハーモニカ奏者で、
その縁からリルド・オーラとコンタクトがとれ、共演に至ったのだとか。
サンパウロのミュージック・シーンとも共振しそうな、
オルタナ的感性を持ったノルデスチ人、それがゼー・カフォフィーニョといえそうです。
Zé Cafofinho & Suas Correntes "DANÇA DA NOITE" Vértices no number (2009)
Zé Cafofinho E Suas Correntes "UM PÉ NA MEIA, OUTRO DE FORA" Marca Registrada no number (2005)
2011-04-23 00:00
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