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ダカールのラテン・ティンジ [西アフリカ]

Afrolatin Via Dakar.JPG   Latin Thing.JPG

ダカールの蒸し暑い夜。
港から生温かい風が吹くと、むわっとした湿気とともに、潮の強い香りが漂ってくる……。
イブラヒマ・シラの編集による新作リイシュー“AFRO LATIN VIA DAKAR” を聴いていると、
そんな夢想にとらわれます。

70年代末にンバラが誕生する以前のセネガルでは、
キューバ音楽をコピーしたラテン・サウンド全盛の時代が長く続いてきました。
当時の音源は、スター・バンドやバオバブなど一部の名門楽団を除き、多くがまだ未復刻のまま。
シラール・プロダクションの新シリーズ「アフロ・ラテン」のダカール編は、
長年の渇きをいやす良質のリイシューとなりました。
思えば、30年以上も前にオランダのダカール・サウンドが出した編集盤、
“LATIN THING” 以来の復刻といえるかもしれません。
未CD化音源を多数選曲したディスク2枚に、充実した解説も付いて、
やればできるじゃん、シラール!といったところ。

なんせシラール・プロダクションは、アフリカ音楽の膨大な音源を所有しながら、
昨年のアフリカ独立50周年記念ボックスといい、
テキトーに選曲した安易なコンピレが多くって、不満がたまってたんですよねえ。
このシリーズは心を入れ替えたのか、気合いの入った仕事をしてます。

じっとりと湿ったずぶずぶな「グアンタナメラ」を聞かせるフォンセカや、
反対にキレのあるすっきりとしたサウンドのオルケストル・ダカール・バンドやハラムなど、
スター・バンドやバオバブなどのトップ・バンドだけではなく、
シングルしか残さなかったバンドも聴きどころがいっぱいです。

キューバ音楽のすかっとした明るいサウンドと違って、
湿度の高く、ねっとりとした肌触りが、いいんですよ。
ナイトクラブで踊る男女の額から流れ落ちる汗の臭いが、
夜の空気に混じり合うようで、ダカールの黒い夜を思わせます。
こういうぐしゃぐしゃっとしたサウンドは、50~60年代のハイチのメラング楽団にも通じるようで、
ぼくにはたまらない魅力なんです。

このアフロ・ラテン・シリーズは、今後もリリースが予定されているようなので、
バマコ(マリ)、コナクリ(ギネア)、アビジャン(コート・ジヴォワール)、
ヤウンデ(カメルーン)編も期待したいですね。
欧米のレコード・コレクターによる、ロック/ソウル/ファンク系音源の復刻はもう腹一杯なので、
まだまだ手つかず状態の60年代アフロ・ラテンの復刻を、精力的にお願いしたいところです。

Baobab, Negro Orchestra, Star Band De Dakar, Amara Touré, Idy Diop, Tropical Band, Fonseca, Xalam and others
"AFRO LATIN VIA DAKAR" Syllart Productions 3237562
Royal Band, Number One De Dakar, Takarnasse, Canari De Kaolack, Mar Seck
"LATIN THING : DAKAR SOUND VOLUME 3" Dakar Sound DKS003
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