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肝っ玉母ちゃんのブルース ヤス・ヤス・ガール [北アメリカ]

The Yas Yas Girl Volume 1.JPGThe Yas Yas Girl Volume 2.JPGThe Yas Yas Girl Volume 3.JPG

70年代のタンザニアで活躍したという幻のバンド、
ウェスタン・ジャズ・バンドのリイシュー盤(Stern's/ライス)を手にして、
ヤス・ヤス・ガールを思い出したっていうのも、われながらメチャクチャな連想ですけど、
表紙の中央に映っている女性がそっくりなんだから、仕方ありません。
じっさいヤス・ヤス・ガールの写真と見比べてみたら、小首をかしげているポーズが似てるだけで、
ウェスタン・ジャズ・バンドの表紙に映ってる女性の方が、チャーミングでしたけれども。

いったい何の話だよ、といわれそうですけど、ヤス・ヤス・ガールの話です。
ご存じですか? ヤス・ヤス・ガール。
本名はマーリン・ジョンスンという、12年ミシシッピ生まれの女性ブルース・シンガーです。
その名を知っているのは、よっぽどの戦前ブルース・マニアだけだろうと思ってたら、
Pヴァインの戦前ブルース名盤コレクション・シリーズのラインナップにのっていて、びっくり。
いやあ、どれだけ売れるんでしょ。大丈夫ですかね?なんて余計な心配をしてたら、
このシリーズは再発とのこと。再発されるくらいだから、相応に売れたんでしょうね。すごいな。

それにしても「尻尻娘」とは、なんちゅー芸名なんでしょうか。
「ヤス」は「アス」のスラングで、「お尻」の意味。ニュアンスは「ケツ」の方が近いのかもしれません。
大酒飲みで、亭主の仕事を手伝って石炭運びの職にも就いてたというんだから、
たいした肝っ玉母ちゃんだったことが偲ばれます。

なんせこの芸名ですから、上品なブルースを歌っているはずもなく、
かなりきわどいボーディー・ソング(猥歌)も歌っていたんでしょうね。
強情で直裁な歌いっぷりと、ダウンホームな味わいが好みで、
ぼくは37年の初録音からクロノロジカルに編集した、ドキュメント盤3枚を愛聴してきました。

第1集はピアノ、ギター、ストリング・ベースをバックに歌っていて、
ギターにはビッグ・ビル・ブルーンジー、ロニー・ジョンソン、メンフィス・ミニーと、
豪華な顔ぶれが並びます。スティール・ギターをバックに歌った
“Please Come Back To Home” なんて珍品が聞けるのもミソですね。
第2集はトランペットとサックスの2管がバックに付く38年5月のセッションに始まり、
第1集よりカラッと明るいジャイヴ風味の強い曲が多く、
ブルージーな第1集に比べ、華やかな印象を残します。
第3集になるとブギウギを歌ったりもしていますが、歌が弾まずちょっと重たい感じ。
ブギはあまり得意じゃなかったのかもしれません。

Pヴァイン盤の選曲は手堅くまとまっているので、
ヤス・ヤス・ガールを楽しむには格好の一枚といえます。

The Yas Yas Girl (Merline Johnson)
"COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER VOLUME 1 (1937-1938)" Document DOCD5292
"COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER VOLUME 2 (1938-1939)" Document DOCD5293
"COMPLETE RECORDED WORKS IN CHRONOLOGICAL ORDER VOLUME 3 (1939-1940)" Document DOCD5294
コメント(2) 

コメント 2

ホシナ

ご無沙汰しっぱなしで……

そうなんですよね、ヤス・ヤス・ガール。
恥ずかしながら、未聴です。
じつを言いますと、昔の私は偏見の塊で、
ブルーズの女王だけで充分かなぁ…と…
いけませんね、注文しよう。

そう言えば、以前 bunboni さんが紹介されていた
ウィリアム・ムーアを上記 Pヴァインの同シリーズで購入しましたけど、残念な事に 4曲しか入っていなくて …
とにかく、愛聴しています。

by ホシナ (2011-06-02 20:10) 

bunboni

唐突なところから思い出して聴き返しましたけど、やっぱりいいですね。
ずいぶん昔にドキュメント盤で揃えてしまったので、Pヴァイン盤を買ってはいませんが、解説を読みたいなあというのがホンネです。
by bunboni (2011-06-02 22:30) 

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