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カビールのタフマン タクファリナス [中東・マグレブ]

Takfarinas Lwaldine.JPG

ぼくが大のごひいきにしているカビールのシンガー、タクファリナスの新作が届きました。
妙なポーズをとりながら、しっかりカメラ目線ないやらしさが、
タクファリナスのおとぼけキャラ全開で、期待が高まります。
いざ、と聴き始めると、オープニングから弦オーケストラが登場し、
たっぷりお金をかけたレコーディングとなっているようで、嬉しいじゃありませんか。

アクの強い声で、ねっとりとイヤらしく歌うタクファリナスの歌い口が、いいんですよぉ。
いかにもカビールの庶民派シャアビらしい、下世話さがぷんぷんと臭ってくるようでたまりません。
タクファリナスは76年にアルジェリアでデビュー、80年代後半にフランスへ渡り、
ベルベル・コミュニティーの若者たちのハートをがっちり捕まえた人です。
ロック・スターのようなド派手なコスチュームで、ダブルネックのエレキ・マンドールをかき鳴らし、
スタジアムを満杯にするほどの実力者なんですね。
日本じゃあ、タクファリナスが好きなんて人に会ったこともないですけど、
あちらでは大スターなんですよ。
大スターといっても、隣の兄ちゃん的親しみに溢れているのが、タクファリナスの良さですけどね。

Takfarinas Salamet.JPG   Takfarinas Yal.JPG

はじめてタクファリナスを聴いたのは、95年の“SALAMET” でした。
ひたすらダンサブルなサウンドに、いっぺんでホレこんだんだっけ。
こんなノリのいいカビール系シンガーは、それまで聴いたことがありませんでしたからね。

“SALAMET” を聴くと、前橋に単身赴任していたときのことを思い出します。
単身寮から職場まで冬の群馬名物の強風、赤城おろしに耐えながら、
毎日このアルバムを聴きつつ、徒歩通勤したもんです。
前橋刑務所の煉瓦塀を越えると、利根川大橋があるんですけど、
ここを渡る時の赤城おろしがまたキツくってねえ。
耳が凍えて引きちぎれそうになるのを、
タクファリナスのヴォーカルを聴きながら歯を食いしばったもんです。

99年の大ヒット曲“Zaama Zaama” も忘れられないなあ。
この曲はフランスばかりでなく、アルジェリアやモロッコでもかかりまくって、
現地の子供たちが嬉しそうに歌ってたという旅行者の話を聞いたこともありました。
“Zaama Zaama” の入った“YAL” もずいぶんよく聴きました。

そういえば、タクファリナスとマイケル・ジャクソンのツー・ショット写真を見た覚えがありますが、
素ではしゃいでるふうのタクファリナスが、街角のただのあんちゃんぽくて面白かったですね。
6年ぶりの新作でも、アゲアゲのハウスあり、ヒップ・ホップありのダンス・ポップに徹したシャアビに、
ジャック・ブレルの「行かないで」のカヴァーなどもあって、バラエティたっぷりのできばえです。

汁気たっぷりべちょべちょねっとりと、情の濃いタクファリナスのエネルギッシュな歌いぶりも
まったく衰えておらず、同い年(1958年)生まれの者として、敬服するばかりです。

Takfarinas "LWALDINE : HYMNE AUX PARENTS" Mandole Production no number (2010)
Takfarinas "SALAMET" DME 3448963201428 (1995)
Takfarinas "YAL" BMG 74321648452 (1999)
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