ポスト・ロベルタ・サー登場 マヌ・サントス [ブラジル]
まるでデ・ジャヴ。
ロベルタ・サーのデビュー作を聴いた時の、目の覚めるようなフレッシュさ、
あの鮮烈な記憶が、マヌ・サントスという新人さんのデビュー作を聴いて甦りました。
現在26歳というマヌ・サントスは、ラパ新世代から登場した新たなる才媛。
そのふくよかな歌声は、まさにポスト・ロベルタ・サーと呼ぶのにぴったりな人です。
ラパで活動する仲間たちが作曲したサンバのほか、
カエターノ・ヴェローゾの“Lua de São Jorge”、イヴァン・リンスの“Deixa Eu Dizer”、
ジルベルト・ジルとジョアン・ドナートの共作“Lugar Comum”、
モアシール・ルスの“Domingo É Dia” といった
著名なアーティストの有名曲を歌っています。
ぼくの好きなジアナ・ヴィスカンディの曲を2曲取り上げているのも、嬉しいところ。
マヌのみずみずしい歌声をバックアップする、メンバーの演奏も申し分ありません。
曲によりアコーディオンやホーン・セクションをフィーチャーした演奏の表情は、実にまろやか。
どんなに時代が進んでも、こういうまろやかさを失わないところがブラジル音楽の良さですね。
世の中にギスギスした音楽が増えるほど、
ぽちゃぽちゃした赤ちゃんの頬のような柔らかさに満ちたブラジルの音楽が貴重に思えます。
アフロ・ブラジリアンの香り高いバイーアのサンバも苦味や酸味が抜け、
すっきり・さっぱりとしたノドごしを味あわせてくれます。
どんなレパートリーもしなやかに歌ってみせるマヌのデビュー作、
まさしくアレグリア(喜び)に満ちた快作に仕上がりました。
Manu Santos "NOSSA ALEGRIA" Saladesom SLD0035 (2011)
2011-10-18 00:00
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