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お爺ちゃんとお父さんと孫娘と ニーリド、ヒューイー&キャスリーン・ボイル [ブリテン諸島]

Neillidh Boyle  A FEELING IN THE BLOOD.JPG

ドニゴールの伝説的なフィドラーという、ニーリド・ボイル。
今年没後50周年を記念して制作されたという3枚組CDで初めて耳にしたんですが、
37年録音という古さをものともしない、豪快な演奏に圧倒されました。

スピード感あふれ、ダイナミックなリール演奏のスゴさといったら。
ドニゴール訛りと形容される、装飾音がいっぱい付いたクセの強いメロディーを、
アタックの強い弓できりきりと、激しく鳴り響かせています。
一方エアーでは、ゆったりと情感のこもったボウイングを披露し、動と静の使い分けも鮮やか。
鳥のさえずりを模したトリッキーなプレイを聞かせる“The Blackbird” など、
いかにもドニゴールらしいフィドル・プレイを堪能できます。

Kathleen Boyle  AN CAILÍN RUA.JPG

なかでもリールの“The Moving Clouds” のプレイは圧巻で、どっかで聴いた曲だなと思ったら、
2枚目のディスクに収められた同曲の53年のBBC録音を聴いて、はたと思い出しました。
これって、女性アコーディオン奏者キャスリーン・ボイルのデビュー作に
収められていたのと同じ録音じゃないですか!
そっかー、ニーリド・ボイルは、キャスリーンのお爺ちゃんだったのかあ。
キャスリーン・ボイルは、スコットランドの歌姫ジュリー・ファウリスを擁するグループ、ドーハスや
チェリッシュ・ザ・レディースのメンバーとして活躍しているので、
スコットランドの人とばかり思っていましたけど、
生まれはアイルランドのドニゴールだったんですね。

キャスリーン・ボイルのデビュー作に収録された“The Moving Clouds” は、
お爺ちゃんのニーリドのフィドルと、お父さんのヒューイーのピアノのデュオ演奏に、
孫娘のキャスリーンのアコーディオンをオーヴァーダブした、
家族三世代の共演だったというわけです。
ニーリドが亡くなった後に生まれたキャスリーンにとって、特別の想いがあったんじゃないでしょうか。
ジュリー・ファウリスもゲスト参加したキャスリーンのデビュー作は、
アイリッシュのダンス・チューンやスコティッシュのガーリック・ソングを愛情深く演奏していて、
ぼくの大のお気に入り盤でした。

Hughie & Kathleen Boyle.JPG

キャスリーン・ボイルのサイトを見に行くと、
なんと“BACK TO DONEGAL” と題する、お父さんと共同名義の新作がリリースされていました。
さっそくオーダーしてみると、ニーリドの曲を父娘のアコーディオンとピアノ共演で演奏するなど、
ボイル家の伝統がしなやかな演奏の中に息づいていることを感じさせ、
ニーリド・ボイルへの献辞があるのも納得のアルバムなのでした。

Néillidh Boyle "A FEELING IN THE BLOOD" Cairdeas na bhFidiléirí CNF007
Kathleen Boyle "AN CAILÍN RUA" Kathleen Boyle KTR001CD (2008)
Hughie & Kathleen Boyle "BACK TO DONEGAL" Kathleen Boyle KTR002CD (2011)
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