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トリオからカルテット、そしてセクステットへ カラカス・シンクロニカ [南アメリカ]

Caracas Sincronica  EL AGRIDULCE.JPG   Caracas Sincronica  ZAFARAFA.JPG

えええええっ! カラカス・シンクロニカが来るの?
11月10日って……明日じゃん!!
偶然手にしたチラシに、まじかよ!と口から心臓飛び出るほどびっくらこいて、
チラシ片手にダッシュでコンビニにかけこみました。
チケットをゲットすべく、はやる気持ちで画面操作を進めると、
なんと無情にも、販売終了のメッセージが。がーーーーん!!!

ベネズエラ大使館が毎年秋に開催するベネズエラ文化週間で、
歌手やミュージシャンを招聘するんですけど、
今年はなんとそれが、カラカス・シンクロニカだったとは。
2002年のベネズエラ文化週間で、都市弦楽のヴェテラン楽団エル・クアルテートが来日して以来、
会場で配られるアンケートの「今後呼んでほしいアーティスト」に、
毎回「カラカス・シンクロニカ」と書き続けたんですよ、ワタシ。
それがついに実現したっていうのに、見損ねたなんつったら、痛恨じゃすまないです。
あぁ、あとは当日券に望みをかけるしかないかと、肩を落として帰宅したら、
ベネズエラ大使館のご厚意による招待メールが届いていました!!!
あ、あ、あ、ありがとうございますぅーーーーーーっ(大泣)。

そんなてんやわんやがあった翌日の恵比寿ザ・ガーデンルーム。
メンバーが6人に増え、ドラム・セットまであったのは予想外でした。
98年のデビュー作“EL AGRIDULCE” では、
クラリネット、マンドリン、ギターのトリオ編成だったんですよね。
ベネズエラの都市弦楽アンサンブルのなかでも抜きん出た音楽性を持ったグループで、
たった3人の演奏とは思えない精緻なアンサンブルは、
当時ブラジルで活躍していたショーロ・グループのオ・トリオをホウフツとさせるものでした。
オ・トリオはギターのマウリシオ・カリーリョ、バンドリンのペドロ・アモリン、
クラリネットのパウロ・セルジオ・サントスと、カラカス・シンクロニカと楽器編成も同じで、
新世代南米弦楽アンサンブルの兄弟と思えたものです。

そして、パーカッションを加え4人編成となった02年のセカンド“ZAFARAFA” では、
多数のゲストにヴォーカリストも迎え、民俗色濃いカラフルなサウンドへと変貌していました。
デビュー作の高度なアンサンブルはそのままに、音楽性の幅をぐっと広げた作品で、
ソニー・ロリンズのナンバーをベネズエラの伝統リズムを使ってフラメンコの要素を加え、
丁々発止のインプロビゼーションを繰り広げるなど、
よりコンテンポラリーなインストルメンタル・ミュージックを志向した傑作に仕上がっていて、
どれだけ愛聴したことか。
『世界は音楽でできている』(音楽出版社)の「マイ・プレイリスト」にも選んだほどです。
『ヨーロッパ・アジア・太平洋・ロシア&NIS編』をお持ちの方は、99ページをご覧下され。

そして、この路線を拡大したのが、現在のセクステットなのですね。
以前とはクラリネットとパーカッションのメンバーが交代していましたが、
ベネズエラの伝統リズム、ホローポ、メレンゲ、ヴァルス、ガイタ、バンブーコなどをベースにしながら、
モダンなセンスで演奏する姿勢はまったく変わりありません。
ドラムスも伝統リズムを移し変えたパーカッション的な役割を果たしていて、
ドラムスというよりタンボールそのもの。

カラカス・シンクロニカが目指すのは、ちょうどブラジルのアミルトン・ジ・オランダ・キンテートが、
ショーロという枠を超えたコンテンポラリー・ジャズとも呼べる、
ブラジルの現代的なインストルメンタル・ミュージックを演奏するのと同じ方向性のものでしょう。
違いと言えば、アミルトンたちほどプログレッシヴではなく、
キューバやブラジルの要素を加えるなど、より汎ラテン的志向や、
ヴォーカル曲を多く取り上げるなど、歌もの志向があるところだと思います。

Caracas Sincronica  TABARA.JPG

会場では、ジャケットの変わったデビュー作とセカンドに加え、
現在のメンバーで2010年に出した3作目にあたる新作も販売されていましたが、
この新作に沿った演奏が、コンサートの第2部で披露されました。
メランコリックないいメロディだなと思うと、マンドリンのペドロ・マルティンの曲なのに感心。
ペドロのアミルトン・ジ・オランダばりのマンドリン・プレイも目を見張りましたけど、
ソングライティングの才能も高く、デビュー当時からのオリジナル・メンバーのペドロが、
カラカス・シンクロニカのキー・パーソンなのは間違いないですね。

コンサート終了後、楽屋で司会の石橋純さんに
「デビュー作から10年来の日本人ファン」とぼくのことを紹介され、
メンバーから次々と熱い握手を求められちゃいました。ファン冥利につきますね。

Caracas Sincronica "EL AGRIDULCE" no label FD25298619 (1998)
Caracas Sincronica "ZAFARAFA" no label FD2522002572 (2002)
Caracas Sincronica "TÁBARA" no label FD2522010966 (2010)
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