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ニジェールの若きトゥアレグたち クデデ、タルビヤット、アトリ・ナスーフ [西アフリカ]

Koudede  ALAMI’.JPGTarbiyat  BAGA.JPGAtri N’Assouf  AKAL.JPG

砂漠のブルースも、ここ10年ですっかり一大勢力を築くまでになりましたね。
世界デビューした数多くのグループの後を追って、
知られざる若手アーティストたちがゾクゾクと現れているようです。
そんな若きトゥアレグたちがひっそりリリースしていたインディ作を、3タイトル入手しました。

どういうわけかも3枚ともニジェールのアーティストで、いずれも旧作。
これまで日本に入ってこなかったものばかりで、
その流通事情の悪さは、ニジェールの不安定な政情や経済事情とも関係しているんでしょうか。
昨年来日したボンビーノもニジェールのトゥアレグでしたけど、
ボンビーノが世界デビューのチャンスを得たのは、
アメリカへ行って音楽関係者と交流したのがきっかけだったといいます。
ニジェール国内に留まった活動で世界のマーケットに乗るのは、まず無理なんでしょうね。

タクリスト・ナカルの元ギタリスト、クデデのソロ・アルバムは05年作。
クデデが弾くアクースティック・ギターに女性コーラスが付くだけという、
きわめてシンプルな作りのアルバムで、クデデがエレキ・ギターのほか、
ティンデやタンバリンなどのパーカッションを多重録音しています。
ゆったりとしたフォーキーなデザート・ブルースといった内容で、
郷愁を誘われるメロディと終始穏やかな表情を見せる歌は、とても親しみが持てます。
J・J・ケイルのファンに聴かせたくなりますねぇ。

タルビヤットは、トゥアレグの宗教指導者として著名なシェイク・モハメド・アドゥダの息子、
モハメド・アルムザミル・ザミルが93年に結成したバンド。
タルビヤットとは、シェイク・モハメド・アドゥダがそれぞれ出自の異なるトゥアレグたちのコミュニティを
統一して73年に設立した村の名前でもあり、タマシェク語で「教育」を意味するそうです。
タルビヤットで育ったザミルは、自身のバンドにその名を名付けたのですね。
ジャケットでギターを抱えているのがザミルのようですけど、
その顔立ちはまるでアジア系というかモンゴロイドで、なんだか親しみがわきますねえ。

つっかかるような独特なリズムの8分の6拍子に、このバンドの個性を感じさせます。
アクースティック・ギター、パーカッション、ベースが生み出すグルーヴにのって、
ソリッドなエレキ・ギターが切り込んできたり、1弦フィドルのイムザードがフィーチャーされたり、
男女コーラスも加わり、カラフルなサウンドを展開しています。
キリッとした演奏にも胸をすきますが、ザミルのヴォーカルにも味わいがあって、
サエないジャケットとみくびっていたら、びっくりしてしまう力作に仕上がっています。

3枚目の「砂漠の星」という名を冠したアトリ・ナスーフは、
ニジェールのトゥアレグであるギタリストのリッサと、
パーカショニストのプリュムがパリで結成したグループ。
ブルキナ・ファソ、アルジェリア、フランスと多国籍なメンバーを擁し、
ティナリウェンのアブダラやジャン・フィリップ・リキエルなどもゲスト参加しています。

ギターを抱えたトゥアレグの男がフランスの高層ビル群をバックに歩くジャケットを開くと、
広大なサヘルの砂漠が広がります。
バンドの出自を見事にヴィジュアル化したデジパックのジャケットや、
英訳の歌詞付きのライナーなど、世界のマーケットに通用するクォリティは3作中随一ですね。
ギター2台とベース、パーカッションのアンサンブルによる安定感のある演奏ぶりは、
どっしりとしていて、新人には似つかわしくない貫禄さえ感じさせます。

Koudede "ALAMI’I" Taxila 332006 (2005)
Tarbiyat "BAGAL" no label no number (2009)
Atri N’Assouf "AKAL" Atri Music SF046CD (2009)
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