レシーフェのカーニヴァルを彩るフレーヴォ ジョジルド・サー [ブラジル]
先週だったか、テレビのチャンネルを変えたら、
レシーフェのカーニヴァルがいきなり画面いっぱいに現れ、
おお!とばかりに引き込まれ、見入ってしまいました。
レシーフェのカーニヴァル音楽の主役であるフレーヴォを演奏するブラスバンドの一員に、
日本人俳優が加わるといった番組だったんですけど、
そういえば最近フレーヴォを聴いてないなあなんて、番組を観ながら思っていたら、
とびっきりハジけたフレーヴォを歌う男性歌手のアルバムに出くわしました。
ジョジルド・サーという名は、パウロ・モウラとの共演作くらししか覚えがありませんが、
歌声を聴く限り、かなりのヴェテランとおぼしき貫禄を感じさせる人です。
地元で長年歌ってきた人なんじゃないでしょうか。
ルイス・ゴンザーガ作のフレーヴォを中心に、歴代のフレーヴォ名曲を歌ったこの本作は、
まさしくレシーフェのカーニヴァルを疑似体験するような傑作に仕上がっています。
テレビ番組でも謳われていたとおり、レシーフェのカーニヴァルの参加者は約200万人。
リオやサルバドールより参加者が多く、世界最大規模としてギネス登録もされています。
そのカーニヴァルを支える音楽がフレーヴォなんですが、
アルバム・リリースに関しては、サンバと比較にならず、低調というほかありません。
2000年以降で記憶に残っているフレーヴォのアルバムといえば、
オルケストラ・ポプラール・ド・レシーフェの2作と、
スポック・フレーヴォ・オーケストラの2作くらいしか思いつかないもんなあ。
フレーヴォという言葉が初めて新聞に登場した1907年から
100年目にあたる2007年の節目の年にも、
ビスコイト・フィノから『フレーヴォの100年』という2枚組記念作が出ただけで、
ほかに目立ったアルバム・リリースがなかったのは、なんとも残念でした。
ジプシー・ブラス顔負けの音数の多い曲を演奏するブラスバンドといい、
ヒップ・ホップ顔負けの人間業とは思えないアクロバティックなダンスといい、
フレーヴォに注目が集まらないほうが不思議なくらいなんですけどねえ。
「求む、シカケ人」といったところでしょうか。
アルバム数こそ少ないものの、上に掲げた5作とも極上の出来なのは、
複雑なフレーヴォの曲を演奏する優秀なメンバーと、アレンジャーが揃っている証拠です。
このジョジルド・サーのアルバムでも、レシーフェで現在最高のグループといわれる、
スポック・フレーヴォ・オーケストラの中心メンバーに、
フレーヴォのアレンジの重鎮アデミール・アラウージョとエドソン・ロドリゲスが参加して、
見事な演奏を聞かせてくれます。
どんなに音数の多い複雑なコンポジションでも、その音楽から優雅さが失われないのは、
フレーヴォの底流にショーロの伝統が受け継がれているからで、
そんなところも、ぼくがフレーヴォに惹きつけられる魅力といえます。
Josildo Sá "TEM FREVO NA LATADA" no label TBC0001 (2011)
2012-01-12 00:00
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