SSブログ

トルコ美女が歌う古典歌謡 アスルハン・エルキシ [西アジア]

Aslihan Erkisi  NEVESER.JPG

トルコのポップスって、ハルクのような民謡系のアルバムでもプロダクションが厚塗りなうえ、
打ち込みがドガスカとうるさく、コブシもぐりんぐりんクドイくらい回して、胃もたれしてしまいます。
そんなわけで、ここ5・6年は古典歌謡・伝統音楽系にしか興味が向かわなくなってしまいました。

そんな嗜好を決定づけたのが、女優兼歌手シェヴァル・サムの06年デビュー作の“SEK”。
ウード、ヴァイオリン、チェロ、カーヌーンなどの弦楽器の生音アンサンブルにのせて、
さらりとしたメリスマを聞かせるシェヴァルの歌声に魂を抜かれ、それはそれは溺愛したものです。
うん、ほんとにこのアルバムは、よく聴いたっけなあ。

Sevval Sam  SEK.JPG

その後のシェヴァルは、エレクトロなミクスチャー・ミュージックに挑戦したり、
アラベスクの歴史を振り返ったりと、女優さんらしく一作ごと意欲的な作品をリリースするも、
個人的にはこのデビュー作“SEK” を凌ぐものはなく、
ああ、誰か、こんなアルバムをまた作ってくれないものかと、ずっと願っていたのです。

で、待つこと5年。出ましたねぇ。78年ドイツ生まれの才媛というアスルハン・エルキシ嬢による、
トルコ戦前歌謡の女流作曲家兼歌手ネヴェセル・キョクデシュ・シャルクラルの作品集。
アルバム出だしの優美な弦楽アンサンブルの演奏に、いきなり胸をきゅっとつかまれます。
<楽器が歌う>とはまさしくこのことで、背中がゾクゾクもののこういう音楽を聴くと、
機械音をもて遊んでヤバンな音楽を作ってる場合じゃないぜと、
余計な一言も洩れようというものです。

古典声楽を学んだという、アスルハンの心根の優しさを感じさせる声が、またいいじゃないですか。
頬にあたる地中海のやさしい風を感じさせるメリスマとでもいいましょうか、
しつこくなくあっさりすぎもしない、絶妙なバランスの歌いぶりに、すっかりトリコとなっています。

Aslihan Erkişi "NEVESER : NEVESER KÖKDEŞ ŞARKILARI" Akustik Müzik no number (2011)
Şevval Sam "SEK" Kalan CD389 (2006)
コメント(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。