アフリカの高貴なる声 ソリ・カンジャ・クヤテ [西アフリカ]
ギネアの名門レーベル、シリフォンの音源を復刻する「オタンティシテ・シリーズ」は、
3年前のケレティギ・エ・セ・タンブリニで完結したとばかり思っていたら、
オフィス・サンビーニャのライス・レコード新作情報で、
ソリ・カンジャ・クヤテの復刻2枚組がリリースされると知りびっくり。
これは声を大にして、真に価値あるアフリカ音楽の復刻とふれ回りたいですね。
曲目リストを見る限り、初復刻曲はないようなので、
古くからのアフリカ音楽ファンにはお勧めしにくいんですが、
ソリの経歴には不明な点がいっぱいあるので、
個人的には詳細な解説にどんな新情報が載るか、期待を寄せているところです。
ちなみに過去リリースされたソリのCDは以下のとおり。
最初の同タイトル4枚のボリバナ盤とシラール盤は同一原盤。
ただしシラール盤には、上掲のヴォーグ盤EPの4曲が2枚に分けて収録されています。
今回の復刻盤は、最後のソノディスク盤2枚を除くシリフォン録音をほぼ集大成し、
ヴォーグ盤EPの2曲も加えた、まさしくベスト・オヴ・ベストな内容となっています。
むしろこの復刻盤、ソリを知らない若い人たちに、ぜひともオススメしたいですね。
かつてリリースされた上記CDもすべて廃盤の現在、
最近アフリカ音楽のファンになった人にとっては、
ソリを聴いたことがないという人も多いはず。
そういうファンの方々にはぜひこの機会に、20世紀のアフリカが誇った
人類の至宝と呼ぶべき偉大な歌手の声を体験してもらいたいものです。
たとえば、アフリカ音楽なんてまったく聴いたことのないクラシック音楽ファンに、
いきなりソリの歌を聞かせると、誰も口々に「すごいねぇ!」と声をあげるほどですからねえ。
どんなオペラ歌手のアリアより、ソリの歌声の方が神々しくパワフルなことは実証済みです。
ライス・レコードの宣伝では、パキスタンのヌスラット・ファテ・アリー・ハーンに匹敵する
強靭な声と唱っていましたが、申し訳ないけどヌスラットはソリにとてもかないません。
声の強靭さだけなら互角かもしれませんが、歌い手としての気品がだんぜん違います。
ヌスラット・ファンのぼくですけど、こればかりはゆずるわけにはいきません。
卑俗なヌスラットと高貴なソリとでは、格が違うと言わせていただきましょう。
以前、サリフ・ケイタのヴォーカルなんて、ソリに比べたら門前の小僧だと書きましたけど、
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2010-01-12
ほんとかよ?とうたぐる若いアナタ、ぜひ2月26日発売の編集盤で確かめてみてください。
[EP] Kouyate Kandia "CHANTEUR ET GUITARE DES BALLETS AFRICAINS DE KEITA FODEBA" Vogue EPL7257 (1961)
[12インチ・シングル 裏ジャケット] Sory Kandia Kouyate "CHANTS INÉDITS : BANDE SONORE DE SON DERNIER SHOW TÉLÉVISÉ" Editions Syliphone SYL575 (1978)
Kouyate Sory Kandia "GRAND PRIX DU DISQUE 1970" Bolibana 76012-2 (1970)
Kouyate Sory Kandia "GRAND PRIX DU DISQUE 1970" Syllart 38203-2 (1970)
Kouyate Sory Kandia "TOUR D'AFRIQUE DE LA CHANSON" Bolibana 76020-2 (1971)
Kouyate Sory Kandia "TOUR D'AFRIQUE DE LA CHANSON" Syllart 38204-2 (1971)
Kouyate Sory Kandia et Son Trio De Musique Traditionnelle "L'EPOPEE DU MANDINGUE VOLUME 1" Bolibana 42037-2 (1973)
Kouyate Sory Kandia et Son Trio De Musique Traditionnelle "L'EPOPEE DU MANDINGUE VOLUME 2" Bolibana 42038-2 (1973)
Kouyate Sory Kandia "KOUYATE SORY KANDIA" Sonodisc CDS6814
Kouyate Sory Kandia "KOUYATE SORY KANDIA" Sonodisc CDS6815
2012-02-15 00:00
コメント(4)
突然の事故のせいで一か月以上も動けない状態がつづきました。気力体力とも最低の時には音楽を聞く気もおきないものでしたが、先日なんとか復活の兆しが見えて、久しぶりにさて何か聴いてみたいと思っていたことろに、注文したばかりのこのCDが届きました。音楽を聴いて心底感動することなんてめったにないのですが、ソリの神々しく生命力にあふれる歌声が体の隅々に染み入って全身を不思議な力で包み込まれるような感覚に襲われました。たまたま弱っていたせいかとも思いましたが、いやいや表現のしようがないくらいすごい歌声です。真のワールドクラスの音楽とはこういうものなのでしょう。bunboniさんのおっしゃる通り、もっと多くの人に聴いてみてもらいたいと思いました。
by nyam nyam (2012-04-10 19:01)
大変な目に遭われたのですね。早い回復を心からお祈りします。
また、そんなときにソリを聴くチャンスが訪れるとは、
アフリカの神様のおぼしめしでしょうか。
「全身を不思議な力で包み込まれるような感覚」とおっしゃられるのが、
わかるような気がします。
by bunboni (2012-04-10 21:07)
今朝、ゴンチチのNHKラジオを何気なく聞いていたら、気持ちいい歌声が聞こえてきました。そこで、番組ホームページを見てみたところ、ソリ・カンジャ・クヤテの「Kémé Bouréma」という曲と判明。
そこでネットで調べ始めたところこちらへ辿りつきました。
アフリカ音楽の知識はほとんどありませんが、とても引きつけられる歌声です。アフリカ音楽の世界ではとても有名な方なのですね。
すばらしい音楽との出会いは、いつも突然にやってくるものだなと、最近つくづく感じています。
by tutu (2012-06-23 15:16)
いらっしゃいませ。
「出会いはいつも突然に」とは、おっしゃるとおりですね。
新たな扉を開いて、さらなるより良き出会いへとつながりますように。
by bunboni (2012-06-23 15:28)