パナマの愛くるしい歌姫 シルビア・デ・グラッセ [中央アメリカ]
思わぬところから、シルビア・デ・グラッセを思い起こされたもんです。
まさかフランス発多国籍のクンビア・バンドから、シルビアのカヴァーを聞けようとは。
でも今となっては、シルビア・デ・グラッセを知る人もあまり多くないでしょうね。
1921年10月28日生まれのパナマを代表する女性歌手で、
50~60年代には中南米諸国からアメリカ、ヨーロッパまでツアーし、
1978年5月14日、まだ人気絶頂の50代の若さで亡くなりました。
かつてラテン・レコード専門店の店主だった永田さんが、
「愛くるしい」といみじくも表現されたシルビア・デ・グラッセは、
カルメン・ミランダとも共通する明るさに満ち溢れた、優れたシンガーでした。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2009-10-12
軽やかにビートに乗るバツグンのリズム感や、
ハイ・トーンをころがす愛嬌のあるテクニックは、天性の才能を感じさせたものです。
というわけで、ひさしぶりにシルビアのレコードをあれこれ取り出してみました。
シルビアのアルバムでぼくが最高作と思っているのは、レモ盤の“TAMBORERAS”。
パナマを代表する作曲家リカルド・ファブレガスのタンボレーラはじめ、
パナマの民俗色をたっぷりと発揮した作品です。未CD化なのが残念なんですけど、
シルビアの見事な美脚を拝めるジャケットも最高のレコードです。
クンビア・ヤ!がカヴァーした“Pepe” のオリジナルも、このレコードに入っていますね。
パナマのハモンド・オルガンの名手アベリーノ・ムニョスの伴奏で歌ったマルベーラ盤は、
タンボリートなどパナマの黒人系リズムもたっぷり楽しめるアルバム。
CD化もされているので、シルビアのアルバムでは一番よく知られているアルバムでしょう。
モンティージャ盤やアンソニア盤は、ドミニカのピアニスト、ダミローンが伴奏をしています。
ソロ・アルバムのほかには、シルビアのご主人で男性歌手のエルネスト・シャピュゾーと
ダミローンとの3人で活動したロス・アレグレス・トレスの録音も残されています。
ロス・アレグレス・トレスは、65年に始まったプエルト・リコの2チャンネルTVの
お昼の番組で大人気となり、広くラテン・アメリカ諸国向けに、
メレンゲ、グァラーチャ、マンボ、チャチャチャなどをやっていました。
音楽的にパナマ色は味わえないものの、ジャケットではシルビアの脚線美を楽しめますね。
モンティージャ盤はだいぶ前にCD化したことがあります。
シルビアはわずか14歳で、“La Guajira” “La Morena Tumba Hombre”
“Hagan Ruedas” などの曲を含む初アルバムを出したという記録が残っていますが、
30~40年代に数多くのSP録音を吹き込んでいるらしく、
いつかそんなシルビアの若かりし頃の録音も復刻されることを期待したいものです。
[LP] Sylvia De Grasse "TAMBORERAS" Remo LPR1575
[LP] Sylvia De Grasse "COSA LINDA" Marvela LP38
[LP] Sylvia De Grasse "EN PANAMA" Montilla FM161
[LP] Sylvia De Grasse "LA CITA" Ansonia ALP1274
[LP] Damiron, Chapuseaux Y Silvia De Grasse "LOS ALEGRES TRES" Hit Parade HPLP010
[LP] Chapuseaux Y Damirón con Sylvia De Grasse "CHAPUSEAUX Y DAMIRON CON SYLVIA DE GRASSE" Montilla FM135
Chapuseaux Y Damirón con Sylvia De Grasse "LOS REYES DEL MERENGUE" Montisa Productions CDM3412
2012-03-22 00:00
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