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しなやかなアフロ・ポップ ジエティ [西アフリカ]

Zieti  Zemelewa.JPG

ジエティは、コート・ジヴォワールのアビジャンに長期滞在していたアメリカ人ミュージシャン2人が、
地元のミュージシャン3人と意気投合して生まれたバンド。
97年に結成し、リハーサルを重ねてレコーディングも10曲行われたものの、
その後勃発した軍事クーデターと内戦の混乱によってレコーディング・スタジオは閉鎖され、
録音テープも失われてしまいました。

それから約10年。アメリカ人2人も帰国し、バンド活動は中断を余儀なくされたものの、
メンバー同士の友情は続き、ベーシック・トラックをアビジャンで録音し、
アメリカでオーヴァーダブしてアルバムを作るという計画が立てられました。
歌とギターとコーラスをアビジャンで録ったテープが大西洋を渡り、
ついに2011年、デビュー作“ZNEMELEWA” が完成したのでした。

そんな経緯をあとで知り、びっくりしたのなんのって。
70年代ふうのアフロ・ポップ・サウンドが痛快なこのアルバムが、
テープのやり取りだけで仕上げたとは、にわかには信じられないバンドの一体感で、
最初は一発録りかと思ったほど、イキイキとしたライヴ感のあるダイナミズムに満ち溢れています。

こういった方法で制作されたアルバムは、どうしてもよそよそしくなりがちで、
パートごとにこじんまりしてしまったりするんですが、このアルバムはまったく違いますね。
カラオケを先に録って、あとで歌入れをするというようなやり方ではなく、
コート・ジヴォワール側で歌とギターとコーラスを録ったものに、
あとからリズム・セクションやギター、サックス、アコーディオンを
オーヴァーダブするというやり方がよかったんでしょうか。

技術的なことはよくわかりませんが、アビジャンでリハーサルを重ね、
レコーディングもすでに一度行っていたことから、
メンバー同士の信頼感や相互理解がしっかりできていたということが、
やはり一番大きかったんでしょうね。

しなやかなハチロクのビートを支えるのがアメリカ人ミュージシャンたちで、
そのリズム・アプローチが見事にアフリカン・マナーであるところが、
本作の成功を呼び込んだといえます。
アフリカ人と非アフリカ人の共演の成功のカギは、
非アフリカ人側にロックやジャズのイディオムに拠らずに演奏する能力が
あるか否かにかかっているんじゃないですかね。

Zieti "ZEMELEWA" Grigri Discs GRIGRI004 (2011)
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