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プエルト・リコの褐色のお人形 ルーシー・ファベリー

Lucy Fabery  LA MUÑECA DE CHOCOLATE.JPG

ホセー・アントニオ・メンデスの名作が立て続けにCD復刻されて、
がぜんフィーリンに注目が集まる今日この頃。
フィーリンは音源じたいが少なく、復刻もほとんど進んでいないと思いきや、
つい最近、ルーシー・ファベリーという聞き覚えのない女性フィーリン歌手の、
50年代録音を編集したCDを聴いて、びっくり仰天。
いやあ、こんなステキなフィーリン歌手がいたとは。

なんとこのCD、10年以上も前にアルマ・ラティーナからリリースされていたもの。
ラテン・ヴォーカル専門レーベルのアルマ・ラティーナは、ラインナップが好みでなく、
ろくにチェックしてなかったんだけど、こんな人が紛れ込んでいたとは知らなかったなあ。
このCDって、どっかで紹介されたこと、ありましたっけ!?
遅まきながら気付いてよかったというか、
フィーリン再評価の今こそ、聴くべきアルバムといえそうですね。

このルーシー・ファベリーさん、サブ・タイトルに「プエルト・リコのフィーリンの声」とあるとおり、
プエルト・リコ出身のフィーリンの女性歌手なんですね。
15歳でプロ・デビューしたあとニュー・ヨークへ進出し、ミゲリート・バルデースに認められ、
フリオ・グティエレスなどとも交流を持って、50年にキューバへ渡ったのだそうです。
ハバナの有名キャバレーやテレビに出演して人気を博し、
当時盛んになっていったフィーリンの洗礼を受け、レパートリーに取り入れるようになったのだとか。

55~58年のハバナ録音を編集した本作は、
落ち着いた大人の女性の声で歌われる、背中ゾクゾクもののフィーリン集。
タイトルにもなっている「ラ・ムニェーカ・デ・チョコラテ(褐色のお人形)」とはルーシーの異名で、
キュートさが魅力のようなあだ名ですけど、むしろイメージは「小股の切れ上がったいい女」でしょう。
抑制の効いた味わいのある歌いぶりがクールで、アダルトな雰囲気たっぷりの歌手です。
ボレーロ系歌手にありがちな歌いすぎることもなく、さっぱりとした後味はまさにフィーリンです。

伴奏がまたシャレてるんですよねえ。
フリオ・グティエーレス指揮によるオーケストラにコンボですからね。
都会的で洗練されたサウンドは、芳醇なメロウネスあふれるもの。
ホセー・アントニオ・メンデスの『フィーリンの真実』にも収録された“Decidete Mi Amor” も、
ヴィブラフォンとアコーディオンをフィーチャーした伴奏で歌っていて、う~ん、ジャジーです。

それにしても、なぜこれほどの歌手がほとんど知られてこなかったんでしょう。
はっきりいって、エレーナ・ブルケなんかより、だんぜん魅力的ですよ。
キューバ人歌手でなくプエルト・リコ人歌手だったために、忘れ去られていたんですかね。
でもプエルト・リコといえば、ペドロ・フローレスやダニエル・サントスを生んだように、
高度に洗練されたボレーロ歌謡の伝統を持つ土地柄なんだから、
フィーリンの歌手がいたって不思議はないというより、必然って感じですね。

Lucy Fabery "LA MUÑECA DE CHOCOLATE : LA VOZ DEL FEELING DE PUERTO RICO" Alma Latina ALCD061
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