アムハラ文字とアルファベット イェッシ・デメラシュ [東アフリカ]
アメリカ盤を持っていたんですが、エチオピアで買い付けたというCDを見て、
わずかなジャケット違いに、矢も盾もたまらず手を伸ばしてしまいました。
中身はおんなじなのに、なんで?と思われるかも知れませんけど、
エチオピア盤ジャケはアムハラ文字のみで、アルファベット表記がないんですね。
アルファベットがないと、デザイン的にはすごく収まりよく見えます。
思えばぼくが日本盤を好きじゃないのは、オリジナル盤主義ということもあるけれど、
漢字仮名交じりの文字が入るのが、デザイン的にすごくイヤだからなんです。
LPやCDでも、ジャケットはオリジナルのままでも、背やジャケット裏なんかに、
漢字や仮名が入っていたりすると、すごくがっかりしてしまうんですよね。(ぼくだけ?)
漢字仮名とアルファベットが並ぶ違和感は、アムハラ文字とアルファベットが並ぶのにも通じ、
アムハラ文字ばかりでなく、アラビア文字、タイ文字、タミール文字などとも、
アルファベットは相性が悪いように思えてなりません。
すんません。どーでもいい個人的な好みの前置きが長すぎました。
そんなわけで、アメリカ盤とエチオピア盤の両方を揃えてしまった、
エチオピア北西部ゴジャム出身の若手女性歌手、イェッシ・デメラシュのデビュー作であります。
ちょっと線の細い歌い方が若い時のアスター・アウェケを思わせ、
ハイ・トーンを揺するようなメリスマ使いに、伝説の女性歌手ベズネシュ・ベケレを思わせる、
伸びやかな歌声もすがすがしい、実力派シンガーの登場です。
エチオピア歌謡の伝統をしっかりと受け継いでいることを感じさせるイェッシの歌も良ければ、
エチオピアの民俗色豊かなメロディを、手の込んだアレンジで料理したプロダクションがまた鮮やか。
オープニングのソウルふうな曲に、
2曲目はペギー・リーの“Fever” を思わせるジャジーなフォービート、
3曲目は80年代ニュー・ウェイヴみたいなセンスのロック(このアレンジはエチオ・ポップ初!)、
4曲目はレゲエと、バラエティ豊かなばかりでなく、
これまでのエチオピアにはなかったポップ・センスを発揮していて、制作陣に才人ありですね。
最初買ったアメリカ盤がナホン・レーベルだったので、あまり期待せずに聴いたんですが、
このプロダクションがいつもの金太郎飴なナホン制作でないことは、一聴瞭然。
エチオピア制作のアルバムを、ナホンが契約してリリースしたんでしょうね、きっと。
12曲中9曲を書いているロベル・ダグネという人が、キー・パーソンなのかもしれません。
とにもかくにも、期待のエチオピアン・ポップのニュー・スター誕生ですね。
Yeshi Demelash "QENE" Nahom no number (2012)
Yeshi Demelash "QENE" Adika Communication And Events no number (2012)
2012-05-09 00:00
コメント(4)
日本盤を好きじゃない理由、それ凄く良く分かります。購入後に帯を取って、その下からでーんと日本語で書かれた背の部分を見ると何かガッカリします。
今ちょうど背の部分が日本語で書かれている「ホセー・アントニオ・メンデス フィーリンの誕生」を聴いていたので同じ事を考えていた人がいたことがいる事を知り嬉しくなりました。
by なる (2012-05-10 06:04)
あ、よかった。ぼく以外にもそういう方がいて。
だからぼくは、洋楽シングルの日本盤を買ったことが1度もありません。
by bunboni (2012-05-10 06:42)
洋楽シングルの日本盤を買ったことが1度も無いというのは凄いです。ただ洋楽に変な邦題はイラナイというのは昔から思っていました(反対意見があるのは承知していますが)。
90年代の初期にP-ヴァインやボンバから出たラテン名盤、コルティーホ、チュイート、タブー・コンボ等のCDの背の部分を見る度に「これもう1度、紙ジャケで出しなおしてくれないかなァ」と思ってしまいます。ジャケット・デザインが最高なだけに本当に残念!日本語表記かアルファベット表記か好きな方を選べるようにリヴァーシブル仕様になっているといいですね。
by なる (2012-05-10 22:04)
ああ・・・思い出しました。Pヴァインのラテン名盤CDの背、どーんとカナ文字でしたね。
オーディブックの背もそうでしたけど、裏ジャケにいたっては、あ~あ、でした。
by bunboni (2012-05-10 22:15)