ソンガイ・ブルース シディ・トゥーレ [西アフリカ]
マリのソンガイ人歌手シディ・トゥーレの再始動が、いよいよ本格化の兆しでしょうか。
96年にスターンズが配給した“HOGA” 以降、まったく音沙汰がなかったのに、
昨年“SAHEL FOLK” を突如リリースしたと思ったら、立て続けに新作が届きました。
ソンガイ人歌手といえば、世界的にもっとも有名なのはアリ・ファルカ・トゥーレですけど、
アリは伝統的なソンガイの音楽性より、
独自のブルースを咀嚼した音楽を前面に打ち出してきた人なので、
ソンガイの味わいを求めるなら、このシディ・トゥーレや
大御所の故イブラヒム・アンマ・ジッコを聴くのが一番です。
本作はシディが弾くアクースティック・ギターに、濁った音色が味わい深い一弦フィドルのソク、
半分に切ったひょうたんを拳で叩くカラバシのほか、リード・ギター、ベース、
そしてややクセのある甲高い声の若い女性コーラスとともに歌っています。
ソンガイ・サウンドの特徴を一言で言うと、
砂漠のブルースとワスル・サウンドをミックスした感じといえば、わかりやすいでしょうか。
ブルージーだけど、カラッとした明るさのある民謡調メロディが、日本人の心によく馴染みます。
日本の田舎の風景が思い浮かぶような5音音階のメロディでのどかなサウンドを聞かせるのは、
イブラヒム・アンマ・ジッコの得意とするところでしたけど、
シディはもっとファンキーというか、ごつごつとしながらも軽やかなグルーヴの持ち主。
本作は「ソンガイ・ブルース」と呼びたい、
交易都市ガオ出身のソンガイ人アーティストならではのアルバムに仕上がっています。
アフリカン・フェスタの企画担当者のみなさん、
招聘ミュージシャンの候補にシディ・トゥーレ、いかがです?
Sidi Touré "KOÏMA" Thrill Jockey THRILL301 (2012)
2012-05-13 00:00
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