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リラクシン・ウィズ・マラービ テテ・ンバンビサ [南部アフリカ]

Tete Mbambisa  Black Heroes.JPG

あぁ、南アのピアノだなぁ……。

オープニングの“Mbombela” に思わずひとりごちてしまいました。
フトコロの深い、どっしりとしたピアノのタッチ。
寛ぎのある温かなトーンは、ぼくがこよなく愛する南ア・ジャズ独特の味わいです。

クリス・マグレガーやダラー・ブランドも称賛する伝説の南ア・ジャズのピアニスト、
テテ・ンバンビサのピアノ・ソロ・アルバムです。
南アの多くのジャズ・ミュージシャンが国外へ亡命したアパルトヘイト時代、
南アにとどまって活動を続けたテテは、世界にその名を知られることはありませんでした。
リーダー作も、アッ=シャムス(ザ・サン)・レーベルに残した“TETE'S BIG SOUND” (76)と、
“DID YOU TELL YOUR MOTHER” (79)の2作があるのみ。
商業的な成功に恵まれなかったとはいえ、南ア・ジャズ・シーンでテテを知らぬ者はなく、
ピアニスト、歌手、作曲家、アレンジャーとして、
多くのミュージシャンや歌手の尊敬を集めてきました。

そんなヴェテラン・ジャズ・ピアニストが、老境を迎えて制作したピアノ・ソロ・アルバムは、
マラービを熟成させたヴィンテージの薫り高さを感じさせるもの。
いかにも南アらしいメロディの1曲目は、ミリアム・マケーバも歌った伝承曲だそうで、
左手のハーモニーに、ダラー・ブランドとも共通するジャズ・ピアニストらしい才を感じさせます。

ライナーによると、テテが育った家はシェビーン(安酒場)のように人の出入りが激しく、
家によくやって来てピアノを弾いた男のプレイに魅了され、
テテは独学でピアノをマスターしたのだそう。
最初に演奏していたのは、黒人労働者たちが愛した大衆音楽マラービだったと発言していて、
やっぱり南ア・ジャズの味わいは、マラービが肝なんですね。
テテは62年にヴォーカル・グループ、ザ・フォー・ヤンクスの歌手としてプロ・デビューしていて、
そんなキャリアが、ハーモニー・センスや歌心あふれるプレイとして開花したのかもしれません。

老練なピアニストの芳醇なタッチに身を任せているだけで、
心ゆたかな気分になれる贅沢なアルバムです。

Tete Mbambisa "BLACK HEROES” Jisa JISACD01 (2012)
コメント(2) 

コメント 2

徳丸 健二

萩原様
 今日、ウィークエンドシャインを楽しく拝聴しました。      早速、ネットで本を注文致しました。
Tete Mbambisaの”Black Heroes"を欲しくて、ネットで検索しましたが、現在、購入は困難な様です。
UKで発売されたようですが、何とか購入する方法はありませんでしょうか?
何か良い方法がありましたら、ご返信をお願い致します。


by 徳丸 健二 (2022-02-05 14:26) 

bunboni

ご視聴ありがとうございます。
”BLACK HEROES”、残念ながら売切れで、販売元にも在庫はないようです。続編の“ONE FOR ASA” も未入手のうちに、在庫切れになってしまい、とうとう手に入れられずじまいです(泣)。お役に立てず、すみません。
by bunboni (2022-02-05 15:48) 

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