甦るダンドゥット・クイーン エルフィ・スカエシ

待ってました！
ダンドゥットの女王さまエルフィ・スカエシが妖艶な魅力をふりまいた、
80年代のプルナマ音源のＣＤ化が、ついにスタートしましたよ。
O・M・ソネタ＆ロマ・イラマのＣＤ化シリーズが完結して、
次はエルフィと密かに期待していたファンは、ぼくばかりじゃないでしょう。

リイシューしたのは、インドネシアの旧作音源を精力的にＣＤ化しているブラヴォ・ミュージック。
ブラヴォ・ミュージックは、ダンドゥットはじめポップ・インドネシアやロックまで幅広く扱っていて、
ブラジルのジスコベルタスと並んで注目のリイシュー・レーベルです。

エルフィ・スカエシが一番良かったこの時期の音源は、すべてカセットだったので、
ぼくはほとんど聴き逃しているんです。カセットには手を出しませんでしたから、はい。
当時エルフィの録音は、日本でＣＤ化した作品や、
マレイシアのライフがＬＰ化した作品だけを聴いていたので、
このＣＤ化シリーズは、抜け落ちた作品を聴ける絶好のチャンスです。

なんせプルナマ音源のエルフィの作品は多いですからねえ。
三つ折りのカードボード･ケース内にも、28タイトルのカセット・ジャケットが載っていますが、
ざっとチェックしてみただけでも、名作“MANDI MADU” や“REGGAE ASSOII”
“DANG-DUT REGGAE” のカセットが見当たらないので、これで全部じゃないってことですよね。
う～ん、全部聴き通すとなると、気が遠くなりそう。

手始めにリイシューされた３タイトルは、いずれも初期のカセット６作を２イン１ＣＤ化したもの。
プルナマのディスコグラフィが整備されていないのか、
リリース順に並んでいないのがひっかかりますけど、
今回聴けた６作のうち一番気に入ったのは、“GADIS JALANAN”。
エルフィの妖艶なこぶしが縦横無尽に炸裂するポップな楽曲がいいですね。
サウンドにもキレがあり、“Warung Tegal” の間奏で、
スリンがガムラン・ジャワのペロッグ音階を奏でるところなど、ゾクゾクしちゃいました。

“IZINKANLAH Ⅱ” もいいですね。
グンダンのごきげんなリズムにのって、ピアノは反復フレーズのアルペジオを弾き、
マンドリンは絶妙なブレイクを作ると、スリンとシンセのオブリガードがひんやりとした風を送る。
グイーンと鳴らすロックぽいギターも、この時代のダンドゥットのお約束。
“Mahendra”のカッコよさなんて、悶絶ものですよ。
もう少し後の録音を聴きたいところですけど、それは今後のお楽しみということで。

Elvy Sukaesih "KARENA PENGALAMAN / IZINKANLAH Ⅱ" Purnama/Bravo Musik BMCD01042
Elvy Sukaesih "KOQ MARAH / GADIS JALANAN" Purnama/Bravo Musik BMCD01043
Elvy Sukaesih "GEDUNG TUA / SALAM SAYANG" Purnama/Bravo Musik BMCD01044