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野性の裏声 中山音女 [日本]

中山音女.JPG

中山音女(なかやまおとじょ)という奄美の唄い手が、1928(昭和3)年に録音した
SP18枚のうち14枚ががまとまって発見され、再生可能な27曲を復刻したCD。
1年以上も前にリリースされていて、
平成23年度の文化庁芸術祭レコード部門優秀賞も受賞したんですと。
ぜんぜん知りませんでした。

SP録音時代の奄美民謡を聴くのは、これが初体験。
パワフルなその声の強さに圧倒されました。
野性的とも言うべき、芯の太い唄声には凄味があります。
これを聴くと、いまの奄美の唄い手たちがいかに技巧的で、
装飾的な裏声使いをしていることがわかりますね。
音女の唄い方はあくまでもストレイトでソウルフル。
語尾の音が下がるのはこの人のクセなのか、耳残りする特徴ですね。

かなり速いテンポで唄っているのにも驚かされるんですが、
これが芸能化する以前の、唄遊びの感覚を残したスピード感なのかもしれません。
即興感覚の強い自由さにあふれているところも魅力です。
リズム楽器のように歯切れよく弾く三線も、リズムが浮ついたり走ったりせず、
実に安定した演奏ぶりで、安心して聴くことができます。

すっかり古いシマ唄の良さに感じ入ったんですが、
ずっと聴いていてアタマから離れない疑問は、SPの回転数。
唄も三線も明らかにピッチが高く、これはどう考えても速回しでしょう。
戦前ブルース音源研究所が開発した、トレイス・ピッチから本来の音程を計測した原音で、
音女の唄を聴き直してみたいものです。

中山音女 「奄美しまうたの原点」 日本伝統文化振興財団 VZCG8474~5
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