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シカゴ・ブルースの先達に捧ぐ ビリー・ボーイ・アーノルド [北アメリカ]

Billy Boy Arnold Sings Big Bill Broonzy.JPG

シカゴのヴェテラン・ブルース・ハープ奏者、ビリー・ボーイ・アーノルドの新作。
ビッグ・ビル・ブルーンジーのトリビュート集という、アンプラグドなアルバムなんですが、
これが「すこぶる」クラスの好作品。
生音の温かさがじんわりと伝わってくる、円熟したブルースにまいりました。

なんといってもいいのが、ビリーの力の抜けたヴォーカル。
ハーモニカも構えることなく、さりげなくプレイするだけで、
その上手さが自然に滲み出るという、まさにヴェテランならではの至芸がニクいばかり。
メンバーの演奏もリラックスしつつ、キビキビと締まった演奏を聞かせ、
レイドバックしすぎないナイス・プレイを聞かせます。

なんら変わったことも、目新しいことも何ひとつしていないのに、
こんなにフレッシュなアルバムを作れちゃう秘訣って、なんなんでしょうか。
ジャンルこそ違いますけど、チェオ・フェリシアーノとルベーン・ブラデスの共演作同様、
ヴェテランがのびのびと持てる力を発揮すれば、こんな傑作が仕上がるという好サンプルです。

ビリーはブルージーというより、朗らかな歌い口で、
♪I'm in a prison~♪なんてヘヴィな歌詞も、あっけらかんと歌っているのが印象的。
曲により、クラリネットやマンドリン、ウォッシュボードを使っているところも珍味で、
ジャグ・バンド的な土臭い味わいも感じられますね。
フル・アクースティックのエレキ・ギターをフィーチャーして、
ジャイヴぽく仕上げたスウィング・ナンバーでラストを締めたのも鮮やか。

ブルース新録というより、フォーキー・ムードのアメリカーナ新作といった感じで、
ビッグ・ビルのカヴァーということを意識せずとも楽しめます。

Billy Boy Arnold "SINGS BIG BILL BROONZY" Electro-Fi 3430 (2012)
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