キュートでも本格的なムラユ エマリア・アブドゥラー [東南アジア]
シティ・ヌールハリザやノラニーザ・イドリスたちが競い合うように歌っていた、
ひところのムラユ・ブームもどこへやら、すっかり今では、
マレイ伝統歌謡の新作を目にすることもなくなってしまいました。
そんなごぶさた続きのところに届いたのが、インドネシア人女性シンガー、
エマリア・アブドゥラーによるムラユ・アルバム。
マレイシアのミュージックランドからのリリースで、
マレイシア向けに制作されたアルバムのようですが、
これが久しぶりの快作で、嬉しくなってしまいました。
若々しく可憐な声の持ち主で、それもそのはず、これがデビュー作とのこと。
ジャケット写真の落ち着いた雰囲気のマスクとは、ちょっと違った印象の声です。
おおらかにうねるリズムにのって、涼しげな声でのびのびと歌っていて、
申し分のない歌唱力ですね。
哀愁のマイナー・メロディを彫り深く聞かせる、厚みのあるオーケストレーションもゴージャス。
艶やかなヴァイオリンと軽やかなアコーディオンをフィーチャーし、
プロダクションも往年のスリア・レーベルに劣らぬもので、聴き応え十分です。
プロデューサーのリチャード・ロックヨトという人が、1曲を除く全曲を作曲しているんですが、
この人はマレイシア人なんでしょうか。
マレイシア伝統歌謡シーンの大ヴェテラン、S・アタンやパック・ンガに劣らぬ実力で、
この人の名前は覚えておいた方がよさそうです。
2年前のリリースながら、インドネシア人歌手のせいで話題にならなかったんでしょうか。
これほどの力作アルバムが、ロクに知られぬまま埋もれてしまうのは、あまりに残念です。
Emalia Abdullah "RINDU YANG MENGGEBU" Musicland 51357-71342 (2010)
2012-11-11 00:00
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