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ルイジアナの深南部へ分け入って キャリエール・ブラザーズ [北アメリカ]

LA LA LOUISIANA BLACK FRENCH MUSIC  Maison De Soul.JPG

いやあ、懐かしい!

学生時代にさんざん聴いたケイジャンのレコード、スワロウ盤の1004番がCD化されました。
A面にはアコーディオン弾きの兄ドランとフィドル弾きの弟ベベによるキャリエール・ブラザーズ、
B面にはアコーディオン奏者デルトン・ブラッサード率いるロウテル・プレイボーイズを収録。
ロウテル・プレイボーイズのメンバーには、A面のドラン・キャリエールの息子と娘が加わっていて、
A面とB面で二世代にわたるケイジャン・ミュージックが聴けるという趣向になっています。

で、ぼくが聴きまくったのが、A面のキャリエール・ブラザーズの方。
手風琴という表現がぴったりの、蛇腹が呼吸する息づかいもナマナマしいアコーディオンも圧巻なら、
そのアコーディオンがジャッ、ジャッと重いリズムを刻むバッキングのうえに、
きしむような音色で奔放に弾くフィドル演奏にもシビれまくりました。

一般的には、エレキ・ギターにリズム・セクションの付いた
ロウテル・プレイボーイズの方が聴きやすいんでしょうけど、
戦後のバンド・ブルースより戦前ブルースが嗜好のぼくには、
キャリエール・ブラザーズの方が断然好み。

それにしてもこのレコードが76年録音なんだから、オドロキでした。
キャリエール・ブラザーズの演奏スタイルは、30年代そのままのオールド・タイミーなもので、
ケイジャンの伝統がルイジアナ深南部でしっかりと息づいているのを実感させてくれました。
当時、ブルースは死んだだの、生き続けているだのの論争がかしましかったものですが、
ことケイジャンに関していえば、そんな論争は不要なくらい、
生活に密着して逞しく生き続けていることが明らかでしたね。
むしろ「死にかけていた」ブルースの方が、ケイジャンよりもレコーディングの機会に恵まれ、
コミュニティ外のリスナーに聴かれていたことは、皮肉な感じがしましたけれども。

The Carrière Brothers  Arhoolie.JPG

キャリエール・ブラザーズのケイジャンが持つ、
ルイジアナ・クレオール・ミュージックとしての性格をより示した好盤に、
74年録音のアーフリー盤もあります。こちらはCD化に際してボーナス・トラックもぐっと増えたため、
ツー・ステップ、ワルツ、ポルカ、マズルカ、ヒルビリー、ブルースとレパートリーも多彩で、
ヨーロッパとアフリカとカリブが複雑にミックスされた音楽には、芳醇な味わいがあります。
二人の古老の歌にもヒリヒリするようななまなましさがあって、圧倒されますよ。

今回スワロウ盤のCD化ではPDF化されたブックレットが内蔵されていて、
老眼のオヤジには大助かり。
CDライナーのちっちゃな字を読むのはシンドくって。
今後、CDは全部こういうふうにしてくんないかな。
難はLPジャケットと同じデザインながら、ドラン・キャリエールの写真を裏焼きにしてしまったこと。
なんでまたわざわざ裏焼きに変えたのか、理解に苦しみます。

Les Frères Carrière, The Lawtell Playboys "LA LA LOUISIANA BLACK FRENCH MUSIC" Maison De Soul MDS1004
The Carrière Brothers "THE CARRIÈRE BROTHERS" Arhoolie 512
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