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エチオ・オルタナ・ロック ユーカンダンツ [東アフリカ]

Ukandanz  YETCHALAL.JPG

こりゃ、すんげえ。
トリオ・カザンチスに続いて「エチオソニック」シリーズが送り出した新バンド、ユーカンダンツ。
フランスの若い4人のジャズ・ミュージシャンとエチオピア人歌手による5人組バンドなんですが、
こいつぁ、ロックですよ。ロック。
重量感たっぷりのドラムスに、オルタナ感覚のギター・サウンドは、
ラウドなオルタナ・ロック・バンドそのもの。
ハラにずしんずしん来るビートの音圧が、気持ちいいったら、ないですね。

困っちゃうなあ。
普段、ロック、キライですとか言ってんのに、おかしいじゃん!と追求されそう。
これほど大音量で聴くのが気持ちいいロック・バンドはひさかたぶりです。
爆音でかけてたら、さっそく家族から苦情が来ちゃいました。

エチオピア人歌手のアスナケ・ゲブレイエスの力量も大したものです。
オープニングからアレマイユ・エシェテの往年の名曲“Addis Abèba Bété” をカヴァーしていて、
相当な自信だなと思いましたけれど、オリジナルを再現するのではなく、
アレンジに趣向を凝らした新解釈で、耳タコとなった曲を新鮮に響かせます。

アレンジはギタリストのダミアン・クリュゼル。
エチオピア音楽をよく理解しているばかりでなく、カヴァー、オリジナルともに、
エチオピア音楽をオルタナ・ロックに塗り替える才能は、抜きん出たものがありますね。
マハムード・アハメッドの“Ere Mèla Mèla” にもウナらされましたけれど、
圧巻はテラフン・ゲセセの“Aykèdashem Lebé”。
この曲でのアスナケの歌はまさに絶唱。脱帽です。

エチオピア現地のサウンドが、かつてのエチオピア歌謡の臭みを消臭し、
アーバンなフュージョン・サウンドへシフトしたのに対し、
エチオピア歌謡黄金時代ならではの臭みをそのままに、
ニルヴァーナやレッド・ホット・チリ・ペッパーズなど、90年代以降のロック感覚で
ブラッシュ・アップしたこのサウンドにこそ、本家本元の王道感を覚えますよ。
このオルタナ・ロックのセンスをエチオピアの若者にフィードバックしたら、
もっと面白いことになりそうですねえ。

すでに今年のアルバム・ベスト10を選び終わってたところなんですけど、
円熟の極みを示したモセ・ファンファンの“MUSICATELAMA” と急遽差替えです。

Ukandanz "YETCHALAL" Buda Musique 860230 (2012)
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