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50年代ハイチのメラングを聴く その1 [カリブ海]

La Belle Epoque Vol.3.JPG

ハイチ音楽レーベルのミニから、ハイチ音楽のパイオニアである
イッサ・エル・サイエと、イッサゆかりのミュージシャンたちによる
50年代録音を編集したアルバム4作が、まとめてリリースされました。
“LA BELLE EPOQUE” のタイトルでイッサ・エル・サイエの第1集と第2集が出たのが07年だから、
今回の第3集から第6集は5年ぶりのリリースで、ずいぶんと長いインターバルになりましたね。
ところで、第6集はダウンロードのみの販売ってなんでだよ?(怒)

さて、まずはその第3集。
表紙には、ポルトー・プランスの目抜き道路にあった
有名百貨店のラ・ベル・クレオールが写っています。
ラ・ベル・クレオールは、イッサ・エル・サイエの両親が経営していたデパート。
イッサの初レコーディング曲“Ti Mama”(CDには“Ti Manman”とクレジットされている)を
吹き込んだレーベルもラ・ベル・クレオールと同じ名前で、
ひょっとしてレコード会社も両親が経営していたんでしょうか。
この第3集所収曲は、ほとんどがこのラ・ベル・クレオール原盤となっています。

CD1曲目の“Ti Mama” は、ハイチ音楽研究家エマニュエル・ミルティルさんの
ディスコグラフィには47年録音とありましたが、
このCDでは50~52年録音と書かれていて、う~ん、どっちだ。
ちなみに、“Ti Mama” のB面“Caroline Acao”は、第1集に収録されています。
イッサの3曲に続く3曲は、キューバ人ピアニスト、ベボ・バルデースのリーダー録音。
歌手はロドルフ・ルグロとジョー・トルジョーで、ベースのケネル・デュロソーと、
タンブーにチ・ローロとチ・マルセルの名コンビが務めています。

最後は歌手ロドルフ・ルグロのグループで、アコーディオンを中心とした快活なメラングが聴きもの。
イッサのオーケストラとメンバーは同じで、ラウル・ギヨーム、ベボ・バルデース、ケネル・デュロソー、
チ・ローロとチ・マルセルと、要するにリーダーが変わっただけの話ですね。
ただしロドルフ・ルグロ自身は、イッサのオーケストラで歌ったことは一度もありません。

ロドルフはペチョンヴィルのホテル・イボ・レレのオーナー、ロベール・ブサンに見初められ、
ホテルがオープンした50年から自身のグループで歌い、人気を博した人です。
歌手よりソングライターとしての才能が高かった人で、
このCDに収録されている曲にも親しみやすいポップ・センスが発揮されていますね。

ロドルフはホテル・イボ・レレでの契約が切れた57年にカナダへ渡り、
ハイチに戻ることはなかったといわれていますが、
この録音は55年もしくは56年にポルトープランスで行われたもの。
ホテル・イボ・レレで火曜と金曜の夜に演奏していたロドルフのアンサンブルが、
いかにハイチの男女たちを魅了したかがよくわかる演奏ですね。

このCDを聴いていると、50年代初めにイッサのオーケストラだけでなく、
オーケストラのメンバーたちも数多くのセッションを持ち、
メラングのレコーディングを残していたことがよくわかります。
イッサ・エル・サイエがハイチのポピュラー音楽黎明期に果たした影響力の大きさを、
あらためて実感させられるリイシューCDですね。

Issa El Saieh and His Orchestra, Bebo Valdes and His Rhythm, Rodolphe Legros and His Ibo Lele Group "LA BELLE EPOQUE VOLUME 3" Mini MRSD2048
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