在日外国人ショップめぐり その1 【ブラジル編 トゥカーノ】 [レコード屋・CDショップ]
日本にいながら、プチ外国旅行気分。
かつてのぼくの街歩きの愉しみは、在日外国人ショップめぐりでした。
「でした」と過去形なのは、ここ十年の不況で、なじみのお店が次々と閉店してしまったからで、
在日外国人ショップでしか買えなかった珍しい現地盤CDも、
いまではネットで簡単に見つかることもあって、最近はすっかり足が遠のいてしまいました。
一番熱心に通っていたのは90年代だから、もうずいぶん昔の話になっちゃったなあ。
こういうお店に出入りするようになった最初のきっかけが、
以前住んでいた地元、横浜は鶴見のブラジル人のお店、トゥカーノです。
鶴見は古くから沖縄出身者や韓国・朝鮮人が暮らしていて、
80年代半ばからはブラジルからの出稼ぎ者も増え、
工場地帯を抱えた独特の国際色豊かな町へ変貌していました。
92年頃だったか、人づてに教わり、初めてトゥカーノに行った時は、そりゃあ驚きましたよ。
駅のすぐそば、1階にピンク・サロンがある雑居ビルで、3階だか4階にあったんですが、
そのビルが階段にも廊下にも電灯がなくて真っ暗という、不気味なところでした。
人気の無いこんな汚いビルに、本当に店があるのかと思いながら、
足下も不確かな暗がりのビルの中をおそるおそる進んでいくと、
一軒だけドアが開き、明かりの洩れているお店があって、そこがトゥカーノでした。
人から教えられない限り、ぜったいたどり着けないような、思い切り怪しい場所。
はじめて行ったのが夜だったこともあって、正直ビビりまくって行ったんですけど、
地元にこんな所があるとは絶句ものでした。その階で開いているのはそこだけで、
ほかの部屋はすべて施錠されていて、全部空室。
なるほどこんなオンボロ・ビルなら、家賃も安そうです。
お店に入ると、そこはまさしくブラジル。客や店員のポルトガル語が飛び交い、
食材や雑貨など、すべてメイド・イン・ブラジル。
在日外国人のお店にはお決まりの、
本国のTV番組を録画したヴィデオ・テープも大量に置いてあります。
CDの品揃えも面白くって、置いてあるのはブレーガやセルタネージャばっか。
MPBのビッグ・ネームが少々あるくらいで、サンバなんて全然無し。
これがブラジル一般大衆の好みというわけで、
日本のCDショップにおけるブラジル音楽の品揃えが、
いかにインテリ向けかわかろうというものです。
というわけで欲しいCDもなく、コーヒーやお菓子ばかり買っていたんですけれど、
その後ポップ・レゲエ・バンドのスカンキやシダージ・ネグラを聞かせてもらって、
好きになったんだっけ。
世紀が変わった頃には、近くのもっとこぎれいなビルに引越して、
外の明かりも入る清潔感のあるお店となりました。
前の店は窓もなくて、なんとも陰気ぽかったですからねえ。
移転した新しいお店で思い出すのは、DJパチーフィを聞かせてもらったこと。
クラブ・ミュージック好きの若いブラジル人の兄ちゃんに、「これ最高!」と教えてもらい、
苦手だったドラムンベースを聴き始めるきっかけになったんでした。
Skank "SIDERADO" Chaos 789.143/2-492071 (1998)
Cidade Negra "QUANTO MAIS CURTIDO MELHOR" Epic 789.150/2-492124 (1998)
DJ Patife "COOL STEPS - DRUM'N'BASS GROOVES" Sambaloco/Trama T300/523-2 (2001)
2013-01-24 00:00
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