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天上の歌声 ソーサーダトン [東南アジア]

Soe Sandar Htun  A HLU TAW MINGALAR.JPG

すいぶんスリムになって、頬のラインもすっきりとしたソーサーダトン。
十年くらい前までは、ミャンマーのぽっちゃり女子といった容姿だったのが、
見違えるようなシルエットとなったのは、エステティックでも受けたのかしらん。
ぐっとアカヌけて若返った新作のジャケ写真に、思わずそんなことが頭をよぎったりして。

ミャンマーからのCD入荷が途絶えて久しく、
知り合いのミャンマー人にお願いして買ってきてもらった、ひさしぶりのミャンマー盤ですけど、
パッケージはソフトケースでディスクはCD-Rという、悲しいシロモノ。
これ海賊盤なんじゃないの?と疑ったら、今のミャンマーではこれが正規盤なんだそう。
たしかにVCDも同じパッケージで、政府発行の証紙が貼られているので、
これが正規盤であることは間違いなさそうです。
海賊盤はホワイト・ディスク面に、手書きでビルマ文字のタイトルを書いただけのものだから、
これでもきちんとした体裁といえますけれどねえ。

ミャンマー経済の実態がこんなところからもうかがい知れるわけですけれど、
それはさておき、ソーサーダトン、絶好調です。
以前は伝統歌謡とポップスをアルバムごとに使い分けて歌っていましたけれど、
ここのところ伝統歌謡のアルバムを多くリリースしているようです。
古典歌謡を歌った“A HLU TAW MINGALAR” に続いて出した
仏教歌謡集の“SAE KOE LONE NAE AUNG PAR SAE” も快作ですよ。

Soe Sandar Htun_Say Koe Lone Nae Aung Par Say.JPG   Soe Sandar Htun_Say Koe Lone Nae Aung Par Say_VCD.JPG

サイン・ワイン(環状太鼓)、サウン(竪琴)、フネー(チャルメラ)といった
ミャンマーの伝統的な楽団編成にピアノが加わった伴奏も華やかなら、
ソーサーダトンの張りのある歌声もよく映えて、万華鏡のようなまばゆさ。
ミャンマー独特の7音音階による器楽的なメロディに、
装飾的なこぶしを細やかに付けながら歌う高度なテクニックには、舌を巻くほかありませんね。
微分音を正確に歌う技巧は、インドの古典音楽にも相通ずるものを感じます。
インド古典と違うのは、歌い口のナマナマしさと親しみすい表情でしょうか。

“SAE KOE LONE NAE AUNG PAR SAE” のVCDを視ていたら、
サイン・ワインやフネー奏者はちらっとしか写らないのに、
サウン奏者の演奏シーンばかり、なぜか何度もアップで登場するのが気になりました。
あれっ、この横顔、なんだか見覚えがあるような。
え~っと、確か……と思ってCD棚をごそごそ探したら、出てきました。
ずいぶん昔に手に入れて気に入っていた、サウン奏者のソロ・アルバム。
うん、間違いないですね。VCDに映っている人と同一人物ですよ。

Thate Tin Win.JPG

名前もタイトルも読めないままのアルバムだったんですけれど、
あらためてミャンマーの知人に読んでもらったら、テット・ティンウィンという人だそう。
おそらくかの地では高名な演奏家なんじゃないでしょうか。
素性知れずのまま愛聴していたサウン奏者が、ソーサーダトンのバックを務めていたとは。
情報のないミャンマー音楽の点と点が線で結ばれたようで、ちょっと嬉しくなりました。

これほどユニークな古典歌謡が今も奏でられているというのに、
ミャンマー国外にはまったく知られていないなんて、もったいない話ですね。
ミャンマーにはロックやヒップ・ホップもありますけど、
古典歌謡や伝統歌謡のメロディを活かしたポップスを凌ぐ音楽はありません。

Soe Sandar Htun "A HLU TAW MINGALAR" Htin Shuu Yeik no number
Soe Sandar Htun "SAE KOE LONE NAE AUNG PAR SAE" Ratar no number
[VCD] Soe Sandar Htun "SAE KOE LONE NAE AUNG PAR SAE" Man Thiri no number
Htet Tin Win "AA LIN GAR MYO SET SOUNG TEE KYUT" Rai no number
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