昔は良かったね アリシア・マギーニャ [南アメリカ]
「今度、アリシア・マギーニャをやろうと思ってるんですよ」
エル・スール・レコード私家盤シリーズで、
ペルー、クリオージョ音楽の女性シンガー・ソングライター、
アリシア・マギーニャをCDR化する話を店主の原田さんから聞いた時は、
「はあ」と気乗りのない返事をしてしまったのでした。
アリシアのか細いソプラノ・ヴォイスと、
オペラちっくな大仰な歌い方が、ぼくはどーも苦手。
いくつか持っていたアリシアのレコードも、
だいぶ前に全部処分してしまったくらいなので、
正直まったく反応できませんでした。
ひさしぶりにアリシアをいいと思ったのは、
数年前CD化された異色のウァイノ作ぐらいだもんねえ。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-02-24
「これ、知ってます?」
反応の鈍いぼくに原田さんが出してきたのは、ずいぶんと若いアリシアの顔が写ったレコード。
アリシアの初期にあたる62年のソノ・ラディオ盤で、3作目だとのこと。
へー、見たことないなあ、こんなレコード、と思い聴かせてもらったら、びっくり。
なんてチャーミングな歌声。
大仰なところなど微塵もない、ういういしい歌い口にトロけました。
え~、初期のアリシアって、こんなに良かったんだぁ!
これはびっくりです。ぼくが苦手とする後年のアリシアとは、まるで別人。
アリシアはクリオージョ音楽の大先輩の女性歌手ヘスース・バスケスに憧れたといいますが、
楚々とした歌いぶりで、けっして歌い込むことをしなかったヘスースの歌い口を、
ちゃんとここでは倣っているじゃないですか。
ああ、こんなにみずみずしく歌えていたのに、
なんで後年はあんなに大仰になっちゃったんですかねえ。
レパートリーも“Indio” はじめ、“Viva El Peru Y Sereno”
“Inocente Amor” と、アリシアの代表曲がずらり。
バルスをはじめ、トンデーロ、マリネーラ、フェスティーホ、ウァイノまで、
ペルー音楽の多彩なスタイルを縦横に歌いこなしますが、
歌い口はどこまでも淡々としているところがイイ!
これこそ、まさにアリシアの代表作ですよ。
「昔はよかったね」って、歌のタイトルじゃないですけど、
このアルバムはアリシアが24歳の時の録音。
考えてみれば、アリシアの初期音源って、ほとんど聴いたことがない。
そこで、つい最近日本盤でもリリースされた
カルロス・アイレとの共同名義の70年作をあわてて聴いてみましたけど、
いやあ、いいですねえ。遅まきながら、アリシアの魅力に開眼しました。
Alicia Maguiña "CANTA A…" El Sur CDR009 (1962)
2013-05-04 00:00
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