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アムハラ美女のご帰還 ネッサネット・メレセ [東アフリカ]

Netsanet Melesse  LIBEN.JPG

ネッサネット・メレセを知っている人がいるとしたら、その人はかなりのエチオピア歌謡通。
90年代初めのワールド・ミュージック・ブーム華やかりし頃、
ヨハネス・テコラ率いるワリアス・バンドをバックにパリで録音した92年作“DODGE” が、
フランスばかりでなくアメリカのシャナチーからもリリースされて、話題を呼んだのでした。

当時エチオピアの女性歌手というと、アスター・アウェケが一番有名でしたけど、
ぼくはアスターのカン高く細い声をヴィブラートさせる歌いぶりが苦手で、
落ち着いた歌声のネッサネットの方が好きでした。
その後04年作の“FURTUNA” では、サルサぽいアレンジや
ラガマフィンまで取り入れたポップなサウンドで楽しませてくれたのも忘れられません。

ネッサネットは“FURTUNA” リリース当時、カナダのトロントに暮らしていましたが、
その後エチオピアに帰国し、エチオピア正教会の慈善活動に力を入れていたようです。
今年1月にリリースされた本作を、「8年ぶり」と書くエチオピアの記事もみられるので、
“FURTUNA” 以来のアルバム・リリースなのかもしれません。

クク・サブシベの新作に続いてネッサネットの新作が聴けるなんて、
長年エチオピアン・ポップを聴いてきたファンにとっては、嬉しい限り。
カヴァー写真も、昔と変わらぬ女っぷりで写ってます。アムハラ美女ですよね。
のっけの1曲目から、ブレイクだらけのやたらとかっこいいアレンジの曲に始まり、
フックの利いたライト・ファンクなビートにやられます。

キャッチーなオープニングに続き、全15曲、多彩な表情のエチオピア歌謡がてんこ盛り。
コンテンポラリーなサウンドにのせて、演歌調のこぶしを利かせまくるネッサネットも大熱演で、
これほどメリスマを駆使しながら、しつこさを感じさせずさらりと聞かせるのは、さすがです。
打ち込みとシンセ主体のプロダクションとはいえ、アレンジは上々で、
これならサウンドにも不満はありません。

ところで気付いたのは、ここ最近目にしたエチオピア現地盤のCDレーベルが、
どれもアディカだということ。イェッシ・デメラシュ、クク・サブシベ、ネッサネットすべてそう。
もともとイヴェント会社だったアディカが、音楽制作や映画製作にも事業を拡大し、
2011年からアルバム制作をスタートしたのだとか。
エチオピアン・ポップス最前線に躍り出た要注目のレーベルですね。

Netsanet Melesse "LIBEN" Adika Communication And Events no number (2013)
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