SSブログ

ナイジェリア演劇の父 ヒューバート・オグンデ [西アフリカ]

Hubert Ogunde  VOLUME 1.JPG Hubert Ogunde  VOLUME 5.JPG Hubert Ogunde  VOLUME 12.JPG

ナイジェリアの歌手やミュージシャンの有名どころで知らない人はいないと思っていたら、
ヒューバート・オグンデというまったく聞いたことのない名前を出されて、ドギマギ。
「ナイジェリア人なら、オグンデを知らない人はいないよ」などと追い討ちをかけられ、
冷や汗たらたら。すんません。出直してきま~す。

いやあ、勉強が足りませんねえ。
調べてみると、オロイェ・ヒューバート・アデデジ・オグンデ(1916-1990)は、
ナイジェリアで初のプロの劇団を主宰し、ナイジェリア演劇を確立した劇作家。
1945年にオグンデ・コンサート・パーティという劇団を旗揚げしたのが始まりで、
「コンサート・パーティ」という名からもわかるとおり、
当初はミンストレル・ショウ的性格の強い演劇だったようです。
芝居あり歌ありの演目を演じるオグンデは、劇作家兼俳優の演劇人であり、
劇音楽の作曲家兼歌手という音楽家でもあったのでした。

演劇かぁ、そっちの方面までは目が届いてなかったなあと反省しきり。
まだまだ知らないことばかり。知ったふうな顔をしちゃいけませんね。
そういえば、ナイジェリア情報省文化局の定期刊行誌“NIGERIA MAGAZINE” に、
演劇の記事がよく載っていたっけと思い出し、本棚からバックナンバーを引っ張り出してみたら、
オグンデ・シアターやオグンデのヨルバ劇の記事が、あるわあるわ。
ナイジェリア人なら知らない人はいないというのは本当の話で、
ナイジェリアの著名人だったのですね。

そのオグンデの長いキャリアの中で残された録音が、
ナイジェリアで一挙に13タイトルCD化されました。
そのうちの3枚を手に入れたんですが、曲名の脇に年号が書かれていて、
どうやら録音年ではなく、劇の初演年を表しているようです。

第1集は、44年から57年までの曲(1曲のみ70年)を収録。
冒頭2曲はSP盤から起したノイズまじりの、
サックスとトランペットが入ったダンス・バンド・ハイライフで、
ノスタルジックなサウンドがなんとも優雅です。
3曲目からはもう少し時代が下った60年代録音と思われ、
トーキング・ドラムも加わったパーカッシヴなヨルバ・ハイライフがカッコイイ。
70年代録音とおぼしき9曲目はかなりジュジュ色が強いハイライフで、
最後の2曲では、ホーン・セクション抜きの完全なジュジュを聞かせます。

第5集はビアフラ内戦時の曲で、タイトル曲はヨルバ・ハウサ・イボの三大民族融和を歌っています。
4曲目まではトーキング・ドラムが活躍するヨルバ・ハイライフぽい曲が続きますが、
76年の5曲目と6曲目は、14分を超すジュジュ。
ギター・アンサンブルにオルガンも加わり、2台のギターがしつこく反復を繰り返すなかで、
リード・ギターとオルガンがスペイシーなソロを弾く、ジャムバンド的展開も聞かせます。

第12集は、いきなり雄弁なトーキング・ドラムのソロに始まり、おおっと前のめりになりました。
1曲目と4曲目は極上のアパラで、ごきげんなパーカッション・アンサンブルが楽しめます。
ただし、オグンデの朴訥な歌いぶりはアパラに向いておらず、腰が砕けちゃいましたけどね。
他の曲はヨルバの伝統音楽で、トーキング・ドラムはフィーチャーされず、
バタを中心とした演奏となっています。少年少女がリード歌手を務め、
オグンデがリードを取っているのはごく一部の曲のみ。
このアルバムはすべて82年の曲で、ヨルバ劇の曲集のようです。

歌手として魅力のある人ではないし、サウンドもその時々の流行を取り入れているだけ。
もとが劇音楽なので、やはり音楽家としての評価は難しいように思えますが、
ヨルバ音楽好きの人なら聴いておきたい人です。

Hubert Ogunde "VOLUME 1 : IGBA MI DOWO RE" Hubert Ogunde Music & Film Production no number
Hubert Ogunde "VOLUME 5 : KEEP NIGERIA ONE" Hubert Ogunde Music & Film Production no number
Hubert Ogunde "VOLUME 12 : AROPIN N’TENIA" Hubert Ogunde Music & Film Production no number
コメント(6) 

コメント 6

アフマリリス

聴いてみたいっ。ひさしぶりに、ドツボのナイジェリア話題、懐かしさでいっぱい ! お名前だけは、ナイジェリアへ行った時に耳にした気がします。あの頃、存命だったですねぇ。
by アフマリリス (2013-07-29 18:14) 

bunboni

さすがですね。
ナイジェリアでオグンデのヨルバ劇、観られましたか?
by bunboni (2013-07-29 20:26) 

おぎてつ

顔とその表情が素晴らしいので、Youtubeで聞いてみました。
なんだか、昔の日本のコマーシャル音楽や沖縄っぽいノリなど、色々と連想しました。
とにかく、南の唄なんですね。
by おぎてつ (2013-08-02 01:07) 

bunboni

そうそう、ヨルバ人でこんな日本人ぽい顔立ちの人も珍しいですよね。
演歌の人で誰か似てた人がいたような。
by bunboni (2013-08-02 09:11) 

さすらい日乗

是非、聞いてみたいですね。
これでも5年前に日本で初めてナイジェリアの作家エイモス・チュツオーラの『やし酒飲み』をミュージカル化して上演したのですから。
音楽は、必ずしもアフリカ的ではありませんでしたが。
by さすらい日乗 (2013-08-12 08:08) 

bunboni

エイモス・チュツオーラはナイジェリアではかなり厳しく批判されましたけど、ヒューバート・オグンデはどう評価してたんでしょうね。伝統的なヨルバ劇に理解の深かったヒューバートだから、擁護派だったのかな?
by bunboni (2013-08-12 20:30) 

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。