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そよ風のリズム、愛の歌 ナンシー・ヴィエイラ [西アフリカ]

20130802_Nancy Vieira_Lus.JPG   20130802_Nancy Vieira_No Ama.JPG

カーボ・ヴェルデ新世代の歌手で今もっとも魅力的な女性歌手、
ナンシー・ヴィエイラが思いがけず来日してくれました。
日本盤リリースに合わせたプロモーション来日で、
おととい代官山の蔦屋書店で行われた、CD発売記念のインストア・ライヴを観てきました。

ナンシーのアルバムというと、
07年の3作目“LUS” でのフレッシュな歌声が忘れられません。
アルバムの始めと終わりに、ペルーの黒人音楽とキューバの古典歌曲を取り上げるなど、
従来のカーボ・ヴェルデのミュージシャンにはみられない意欲作となっていました。

今回日本盤で出た11年作の“NO AMÁ” は、力の抜けた歌唱が鮮やかでした。
こんなにさりげなく歌える人って、カーボ・ヴェルデはおろか、
同じポルトガル語圏のブラジルにも、ちょっと見当たらない気がします。
静かにつぶやくような歌い口から、さっぱりとした風味の香るアルバムで、
違いのわかる大人の音楽好きにこそ、聴いて欲しいアルバムです。

ちなみに、最初このアルバムが出た時、どこぞの輸入CDショップの宣伝文句に
「セザリア・エヴォーラの再来」と書かれているのを見つけ、怒り心頭に発したものでした。
カーボ・ヴェルデの歌手というだけで、どうせ中身を聴きもせず、
セザリア・エヴォーラを持ち出したんでしょうけど、
朴訥なだけで味もへったくれもないセザリアの歌と、ナンシーの歌が同じに聞こえるようなら、
その人は音楽を語る資格なんぞありません。
カーボ・ヴェルデの音楽を語る時に、なにかというとセザリア・エヴォーラを持ち出す
ナントカの一つ覚え、いい加減やめてもらいたいもんです(怒)。

ナンシーの歌には「情け」がありますね。
それがカーボ・ヴェルデ人にとっての郷愁、ソダーデの感覚なんでしょうけど、
日本人の耳には、心根の優しい女ごころが伝わってくるようで、胸に染み入ります。
ライヴで体験して、CDで聴く以上にいい声なのに、ホレボレとしてしまいました。
ナンシーの柔らかでデリケイトな歌い口には<ヨーロッパ>が、
太い幹を思わせるしっかりとした芯のある歌声には<アフリカ>が溶け込んでいます。

大西洋の波に洗われた海風の薫る歌いぶりは、
カーボ・ヴェルデのクリオーロが生んだ、最高の結晶です。
もうセザリア・エヴォーラの名前は忘れましょう。

Nancy Vieira "LUS" HM Música HM004CD (2007)
Nancy Vieira "NO AMÁ" Lusafrica 024162 (2011)
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