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古色蒼然のサカラ サヌシ・アカ [西アフリカ]

S. Aka  Suuru Letutu Aiye.JPG   S. Aka  Ogun Onire.JPG

サカラといえば、ナイジェリア、ヨルバ人のイスラム系ポップスの中でも、
もっとも取っ付きにくい音楽。
1弦フィドルのゴジェが♪ きーこきーこ ♪と物憂げな響きを奏で、
平べったい片面太鼓のトーキング・ドラム、サカラ(オルンシャともいいます)が
ドコドン、ドコドンと重々しく打ち鳴らされるなか、イスラミックなこぶし回しの
歌とお囃子がコール・アンド・レスポンスをするという、激シブな音楽です。

テンポもゆったりとしていて、鄙びた雰囲気がいっぱいというか、
なんだかご詠歌でも聴いてるような気分になります。
サカラを初めてレコーディングした初期の大物、アビブ・オルワの30年代録音を聴くと、
もう少しテンポが速いんですけれど、時代が下るほどに遅くなっていったようですね。
そんなおごそかで野趣な味わいのあるサカラが、
やがて時代のスピードについていけず、廃れていったのも無理のない話で、
アパラやフジの流行によって、サカラは姿を消してしまいました。

サカラの火が消えたのは、このジャンルの大スター、
ユスフ・オラトゥンジが78年に亡くなったのがきっかけ。
そしてユスフの最大のライヴァルとみなされた
S・アカことサヌシ・アカも同じ78年に亡くなってしまい、
サカラは二大看板の歌手を揃って失います。
さらに、サカラ(トーキング・ドラム)の名手としてアビブ・オルワのバンドで名を上げ、
アビブの死後、グループを受け継いだサラミ・バログンも81年に亡くなり、
時代遅れとなっていたサカラにとって、決定的な致命傷となりました。

CDで聴くサカラでは、なんといってもユスフ・オラトゥンジのカタログが一番豊富です。
ナイジェリア・フィリップスに残されたユスフのLP時代のレコードが、
プレミア・ミュージック、ザレコ、オラトゥンジの3社から、
3社3様のジャケットとタイトルでリリースされています。
同内容のアルバムがタイトル違いで出ているため、ずいぶんとダブって買ってしまい、
手元には60枚弱ものCDが集まってしまいました。

いまなお根強い人気のユスフ・オラトゥンジに比べ、
サヌシ・アカやサラミ・バログンはすっかり忘れられているようで、
ほとんどCDを見かけることもなく、ぼくはどちらも1枚しか持っていません。
ところが最近、初めて見るサヌシ・アカの2タイトルを手に入れ、
どうやらナイジェリア現地ではもっとCD化されていることがわかりました。

ユスフ・オラトゥンジとサヌシ・アカのサカラに際立った違いはありませんが、
あえて比べるなら、サヌシ・アカの方がビートにキレ味があり、メリハリが利いています。
アギディボ(4・5弁の低音大型親指ピアノ)がビートの強化に一役買っているともいえますが、
今回聴くことのできた『第11集』にはアギディボが入っておらず、
ひょうたんの表面を金属製の指輪で叩き、カチカチと音をたてる打楽器のイバと、
サカラ、ゴジェのみというシンプルな伴奏でした。

どちらにせよ、ものすごく渋い音楽なので、広くオススメはできませんけれど、
サヌシ・アカのパワフルなメリスマにはいかにもヨルバくさい味わいがあり、
くさやの干物じゃないけど、慣れればたまらんのです。

S. Aka & His Sakara Group "SUURU LETUTU AIYE" Olumaks Films & Records no number
S. Aka and His Sakara Group "VOLUME 11 : OGUN ONIRE" Olumaks Films & Records no number
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