トゥアレグ文化と日本の武士道 イムザード [中東・マグレブ]
デザート・ブルースのバンドって、マリやニジェールの出身者が多いですよね。
アルジェリアにも多くのトゥアレグ人が暮らしているのに、
なんでアルジェリアからはトゥアレグ人バンドが出てこないんだろうと思ってたら、
今年4月アルジェリアでデビュー作をリリースしたという、
イムザードというバンドのアルバムを聴くことができました。
イムザードって、トゥアレグの女性が弾く1弦フィドルの名前ですよね。
かつては「貴婦人の楽器」と称され、女系のトゥアレグ社会の中で、
高貴な身分の女性が嗜む楽器として継承されてきたものです。
あ、ちなみに「イムザド」と書く人がいますけど、
「ザ」にアクセントがあるので、平坦な書き方はそぐわないとぼくは思います。
さて、そのイムザードは、アルジェリア南部タマンラセットを拠点とするバンド。
元テラカフトのメンバーを含む男性8人、女性2人の計10人から成ります。
伝統的なトゥアレグ音楽を伝承するイムザード・トラディシオンという
女性グループの別働隊としてスタートしたバンドらしく、
イムザード・ギターの別名で活動していることを、彼らのウェブ・サイトで知りました。
ジャケットにはイムザードを持つ女性メンバー二人が写っていますが、
アルバムではイムザードの響きは聞こえず、あくまでシンボルだけなのかもしれません。
あまたあるデザート・ブルースのグループの中でも、抜きん出たセンスを持つグループで、
レゲエのリズム・カッティングを刻むギターや、ファンキーなラインを弾き出すベースのほか、
ラップを取り入れた曲もあるなど、インターナショナルに通用するサウンドを聞かせます。
一夫一婦制のトゥアレグ社会は、女性が夫を選び、離婚をする権利も持つという女性上位社会。
男性がヴェールで顔を覆うのに対し、女性はヴェールを使わない人もいるくらい。
女性や老人を敬い、謙遜と控えめの態度を示すトゥアレグ文化は、
日本の武士道にも相通ずるようで、親しみがわきます。
Imzad "OULH N’AHAGGAR" Padidou Music CD309 (2013)
2013-08-30 00:00
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