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デビュー作はハイライフ・ジャズ ピーター・キング [西アフリカ]

Peter King  MILIKI SOUND.JPG

すんません。ピーター・キングのこと、みくびってました。

クラブ方面からの需要で、70年代の未発表録音2作が復刻された
ナイジェリアのサックス奏者なんですが、
アフリカ音楽ファンからすれば、典型的な70年代アフロ・ソウルの
凡庸なミュージシャンとしかみえなかったんですよねえ。

ところが、今回75年のデビュー作がリイシューされ、びっくり仰天。
その新鮮なハイライフ・ジャズは、先にリイシューされた
2枚の凡庸なアフロ・ソウルとはまったくの別モノ。
な~んだ、ちゃんとハイライフをやってた録音もあったんだと、見直しちゃいました(少しだけ)。

ピーター・キングは、57年、ロイ・シカゴのバンドにマラカス奏者として雇われ、
ハイライフからキャリアをスタートさせたミュージシャンで、
61年にロンドンへ音楽留学し、ジャズやソウルを吸収したという経歴の持ち主。
69年にナイジェリアへ帰国してバンド活動をスタートさせますが、
71年に再び渡英しイギリスで75年にレコード・デビューします。

先に復刻された“SHANGO” は、74年に録音されたままお蔵入りとなっていた作品で、
そのまんまお蔵入りにしとけばよかった<偽アフロ・ポップ>アルバムでしたが、
おそらくピーター以外は、全員非ナイジェリア人ミュージシャンだったんじゃないのかな。
ところが75年のデビュー作では、アフロ・ソウルのような水で薄めたアフロ・ポップ曲はまったくなし。
全曲ヨルバ語で歌った本格的なハイライフばかりなんだから、頬も緩もうというものです。

ピーターはテナー・サックス、ソプラノ・サックス、フルートのほか、
ピアノ、ヴァイオリン、パーカッション、ヴォーカルとクレジットされていて、
ギター、ベース、ドラムスのクレジットはありませんが、おそらくナイジェリア人でしょう。
さらに驚きは、トランペットにジャマイカのエディー“タンタン”ソーントーン、
アルト・サックスに南アのドゥドゥ・プクワナが参加していたこと。
ロンドン・コネクションともいうべき、これらの豪華ゲストたちとともにソロ・リレーした
ハイライフ・ナンバーが、極上のハイライフ・ジャズに仕上がらないわけがありません。
イントロにチャランガふうのヴァイオリン・セクションを施した試みも面白いですね。

ミリキ・サウンドと名付けられたピーター・キングのハイライフには、ジュジュの影響もみられ、
エベネザー・オベイの「ミリキ・システム」からいただいてきた(?)ネイミングといい、
ヨルバ色がくっきりと示されています。
こういうホンモノのハイライフの良さが、レア・グルーヴ・ファンにもわかるようになれば、
つまんないアフロ・ソウルのリイシューに手を出さなくなるんじゃないですかね。

Peter King "MILIKI SOUND" Mr Bongo MRBCD103 (1975)
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