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麗しいつぶやき タミー [ブラジル]

Tamy  CAIEIRA.jpg

3.11直後の異常な現実と向き合っていたあの年の春。
ほったらかしにされた満開の桜が哀しいほど美しく、
桃色に彩られた街並みもどこか現実感なく、白日夢を見ているかのようでした。
誰も祝わない桜並木の下を通勤しながら、
毎日聴いたボサ系MPB女性シンガー、タミーの前作。

震災直後の記憶があまりにこびりついたような気がして、
翌年の春聴き返すのをためらったものの、
幸いにしてあの春の特別な体験は結び付かずに済み、以来、桜の季節の定盤となっています。
http://bunboni58.blog.so-net.ne.jp/2011-04-11

すみません、つい前作の前置きが長くなってしまって。
オーガニックなエレクトロ・ボサのサウンド・プロダクションをバックに、
キューティ・ヴォイスで歌うタミーの新作が届きました。
3作目となる今作は、カシン、ダヴィ・モラレス、ジャキス・モレレンバウム、
ロドリゴ・カンペロ、マルコス・スザーノといった豪華メンバーが参加。

ドラムンベースまで取り入れていた前作に比べるとエレクトロ度が減って、
今作のサウンドはナチュラルなテイストに変化しています。
ハープやチェロなどの弦楽器に管楽器をデリケイトに配した、
ロドリゴ・カンペロのアレンジが冴えていますね。
一癖あるギター・サウンドや、ロックやレゲエもさらりと聞かせるところはさすがです

意外だったのは、コンゴ出身のシンガー・ソングライター、ロクア・カンザが1曲参加していて、
タミーとデュエットしていたこと。
ロクア・カンザとタミーとは意表をつく取り合わせですが、
アフリカ調の曲にタミーの個性がぴたりとハマり、聴きものとなっています。

タミーの脱力ヴォーカルは、前作とまったく変わりありません。
ギターのバチーダにのせて、淡々とつぶやくように歌うタミーの声を聴いていると、
胸の動悸も治まり、余計な緊張がほどけて呼吸が整っていくのを感じます。
彼女のヴォイスは、ぼくにとっての安定剤でしょうか。

Tamy "CAIEIRA" no label RF00396 (2013)
コメント(2) 

コメント 2

おぎてつ

笑顔が可愛い!と心ときめき、画像を捜してみたら、正面は結構、オバチャン。
でも、俺もおじ(い)ちゃんだから、ま、いいや。傍にいてくれたら、やはり嬉しいタイプ。

ところで、日本でもこんな歌い方する人が居たような気がしますけど、誰だったかな…。

おぎてつ
by おぎてつ (2013-10-29 22:52) 

bunboni

うははは。容姿より、隣でこんな歌を聴けたら、幸せ。
日本人だと、近いのは小野リサかな。
by bunboni (2013-10-30 06:40) 

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